玉を投げるとスクリーンが爆発!三次元的当て「SplashDisplay」【SENSORS WONDER】

2015.12.17 16:00

今は、まだ誰にも理解されないものかもしれない。しかし、それが時に世界を動かす大きな発明になるかもしれない...そんな思いの元、学生・企業・研究者達による「不思議な」プロダクトを紹介するコーナー「SENSORS WONDER」。OAではミニコーナーなのだが、そこで紹介するプロダクトの開発の裏には、様々なストーリーが存在する。OAで紹介しきれなかったこのストーリーをsensors.jpでも公開していく。

今回紹介するのは、スクリーンが爆発する三次元的当てゲーム「SplashDisplay」。発泡ビーズで作られたスクリーンに上から映像を投影し、外から投げ込まれた玉の位置を、こちらも上部のカメラで検出。テーブル下の送風機(大型スピーカー)が的の位置に合わせて常に移動。低周波(10-20Hz)の振動が風となり、ビーズを上方に吹き上げる。この仕組みによってまるで本当にスクリーンが爆発しているかのように見えるのだ(下記画像参照)。「SplashDisplay」開発の裏側を、メディアアーティスト 的場やすしさんに伺った。

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■これまで6台を制作。全国の美術館でも展示

--まずは「SplashDisplay」の概要について、お聞かせ下さい。

的場:
「SplashDisplay」はこれまでに6台制作していて、これらは内部の構造が少し異なります。1号機と2号機は発泡ビーズを吹き上げる送風機として、1個の大型スピーカーを使用しています。3号機以降は1個の送風機を動かすのではなく、複数の動かない送風機を設置しています。動く的に玉が当たった時に一番近い場所の送風機が風を出します。

--作成の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

的場:
これまでに計6台制作しています。1号機と2号機は、2012年、私が電気通信大学 小池研究室の学生だった頃に他の学生と一緒にインターフェイス研究の目的で作りました。「単なる映像ではなく本当に爆発するディスプレイを作りたい」と思っていました。1号機は2012年3月、フランスで行われた国際会議「Laval Virtual 2012」に出展し3D Games & Entertainment Awardを受賞、2号機は2012年8月SIGGRAPH(北米コンピュータ学会) E-tech に出展しました。また、2012年にアジアデジタルアート大賞展のインタラクティブアート部門 優秀賞を受賞しました。

3〜6号機はメディアアート作品の巡回展示企画「魔法の美術館」からの出展要請を受けて、2013年からアート作品として制作しました。パソコンのプログラムを徳井太郎氏(後に山野真吾氏も参加)に作ってもらっています。今も3〜6号機は現役で、12月からあべのハルカス美術館(大阪府)と八戸市美術館(青森県)で展示されています。
(過去、熊本現代美術館、金沢 21世紀美術館、岡山シティミュージアム、名古屋松坂屋美術館、長崎県立美術館、浜松市美術館、川崎市市民ミュージアム、新潟市新津美術館、秋田県立近代美術館、さいたまスーパーアリーナTORIO、福岡市アジア美術館、天津(中国)の民园体育场/Minyuan Stadiumでの展示実績あり)

--投げ込んだ玉の検出方法について、詳しく教えて頂けますか?

的場:
本体のふちの部分に赤外線LEDが1列に並んでいます。ここから、赤外線をビーズ面の上15cm〜20cmの空間に線状に照射しています。玉を投げ込むと、ビーズ面に着地する直前にこの赤外線が玉に当たります。すると、人間には見えませんが、玉が一瞬赤外線でピカッと光ります。この光を天井から吊り下げた赤外線カメラで検出します。これで、玉がいつどこに落下したのかを同時に何個でも検出出来るようになっています。
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■SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー・岡田麻里奈の視点

ゲームが大好きな私としては、大興奮なプロダクトでした。ゲーム業界も日々ものすごく進化していますが、基本はモニターディスプレイありきの話。しかしこの「SplashDisplay」は今までのゲームの概念を覆すような、パイオニアでは?ディスプレイが爆発してしまうなんて...
いつの日か、このような「3次元ディスプレイ」のゲームが普及すると、もっとゲームの世界に入り込んで楽しめるかもしれませんね。

聞き手&企画:岡田麻里奈

SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー。日本大学芸術学部 放送学科 テレビ制作専攻卒。大学時代は映像を作り続ける傍ら塾講師としての経験も。「ZIP!」や各種特番の担当を経て現在に至る。「あなたの熱い想いを皆様へ」をモットーに、取材ではしつこいくらい...いや、仲良くなれてしまうくらい、真意に迫ります。

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