いつもの車窓も、携帯電話を使ったアクションで楽しめる「SURPRISE WINDOW」【SENSORS WONDER】

2015.12.16 10:00

今は、まだ誰にも理解されないものかもしれない。しかし、それが時に世界を動かす大きな発明になるかもしれない...そんな思いの元、学生・企業・研究者達による「不思議な」プロダクトを紹介するコーナー「SENSORS WONDER」。OAではミニコーナーなのだが、そこで紹介するプロダクトの開発の裏には、様々なストーリーが存在する。OAで紹介しきれなかったこのストーリーをsensors.jpでも公開していく。

今回紹介するのは、アクションゲーム風 デジタル・コンテンツ「SURPRISE WINDOW」。
これはWebからダウンロードして遊べるもの。6パターンのアクションを選んで、携帯電話のキーを設定し、QRコードが発行される。そのQRコードを読み取ると携帯電話の画面にキャラクターが表示される。次に、ダウンロードした型紙でディスプレイを組み立て、携帯電話の画面に装着するとそのキャラクターが組み立てたディスプレイに反射される。そのキャラクターは電波が良いと高くジャンプしたり、圏外になると、息をあげたり様々な動きを見せるのだ。
このコンテンツを開発した君塚史高さんに、開発秘話を伺った。

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■子供の頃はもっと窓の外を観ていたし、アクションゲームのような妄想もしていた

--キャラクターはどのような仕組みで投影されているのでしょうか?

君塚:
夜、部屋電気をつけて窓の外を見ると自分の顔が映ることがあると思いますが、それと同じ原理です。携帯電話のディスプレイから発せられる光が透明なプラ版に反射することで、コンテンツがプラ版に写っているように見えています。デバイスというと大げさに聞こえますが、透明なプラ版を45度の角度で張っているだけで、どうやらペーパーズゴーストと呼ばれる手法のようです。

--キャラクターの動きは、どのような仕組みになっているのですか?

君塚:
あらかじめキャラクターの動きはプログラムされています。大きく、「走る」「飛ぶ」「いなくなる」のアクションが数種類ずつ組み込まれており、「飛ぶ」と「いなくなる」はボタン操作で呼び出せるようになっています。走る速さ、飛ぶ高さ、いなくなり方は、携帯電話の電波状況が良い時ほど、派手なアクションが出るようになっています(電波の良い時ほど早く走り、電波の悪い時は息切れするなど)。

--このデバイスを作ろうと思ったきっかけは、どのようなものですか?

君塚:
もともとはIAMASという大学院で、子供向け電子玩具をつくってイマジネーションを育てるという研究の一環としてつくりはじめました。個人的には、「鑑賞者に委ねるコンテンツをつくりたい」「ポータブルデバイスを持ち歩く時代、移動空間で鑑賞することを前提にしたコンテンツがあってもいいんじゃないか」という思いもありました。
雪山に言ったら、スキーやスノボなど雪山ならではのコンテンツで遊ぶ。海に行ったら、海水浴や潮干狩りなどの海ならではのコンテンツで遊ぶ...その時の状況に応じたコンテンツがありますよね。ただ、電車やバスでの移動中は「ならでは」のコンテンツが無く、読書やメールの確認などどこでもできるコンテンツを鑑賞している事に気づきました。子供の頃はもっと窓の外を観ていたし、アクションゲームのような妄想もしていましたし。
車窓から見える景色や、移動中に体にかかる加速度など、移動中にしか体験できない現象をうまく使えば、移動中に鑑賞するコンテンツが作れるんじゃないかと思い研究を始めました。
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--制作にあたって、どのようなものを参考にしたのでしょうか?

君塚:
キャラクターは2種類あり、ドット絵のほうは「陸上マガジン」の連続写真を参考に作りました。学生時代陸上部だったので、家にあったんです。ドット絵じゃない方は大学院でアニメーションが得意な子に頼んで描き下ろしてもらいました。
携帯電話にデバイスを取り付けるというアイデアは、当初は予算の都合上の苦肉の策で、本当は専用デバイスにしようと思っていたのですが、後にファミコン(テレビに取り付けるデバイス)と同じ発想だということに気づき、そのままいくことにしました。

--今後の構想、さらに野望など、もしありましたら教えて頂けますか?

君塚:
まず、スマートフォンに対応させたいと思っています。これはFlashコンテンツなのでスマートフォンでは動作しないんです。
また最近、子供の頃に遊具じゃないものを想像で遊びに変えていた経験の面白さを思い出しました。子供の頃は、無意識に世界をおもしろく拡張できていたはずなのに、いつの間にか忘れてしまっていたのではないかと感じました。そこで、「ボクシングで戦うことのできる蛍光灯の紐」「遠くからゴミを投げ込むと歓声があがるゴミ箱」「ボタンの溝が道になるリモコン」など、自分が子供のころに想像していた遊びを実体化した展覧会を開き、2日間で100名程度の方にご来場頂きました。ここでは、スマートフォン版の「SURPRISE WINDOW」も展示しました。スマートフォンにすると、やはりカメラを起動するようなアプリにすることをイメージされることが多いのですが、ここでもあえてアナログな手法(ペッパーズ・ゴースト)で投影するという手法が逆に良かったように感じました。
 

■SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー・岡田麻里奈の視点

子供の頃、おじいちゃんの家に行くときに、ずっと揺られていた車の中...
変わらない車窓の景色に色んな空想の物語を想像していた、そんなことを思い出しました。子供の頃は、想像することで「退屈」なんて感じなかったような。
子供の頃の飽くなき創造力を現実のものとして操作もできる。懐かしくて新しい、そんな作品でした。

企画:岡田麻里奈

SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー。日本大学芸術学部 放送学科 テレビ制作専攻卒。大学時代は映像を作り続ける傍ら塾講師としての経験も。「ZIP!」や各種特番の担当を経て現在に至る。「あなたの熱い想いを皆様へ」をモットーに、取材ではしつこいくらい...いや、仲良くなれてしまうくらい、真意に迫ります。

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