スタートアップの国際線『#SVFT2015』 ALL英語のイベントは日本を変えるか

2015.07.06 07:00

独立系ベンチャーキャピタル「Skyland Ventures」(スカイランド ベンチャーズ)が主催したAll英語のスタートアップイベント「#SVFT2015」が品川の日本マイクロソフト社で開催された。これまでにあまり見られてなかった日本でのグローバル・イベントにSENSORSが訪問した。グローバル・イベントを約1ヶ月半ほどの準備で実現した影の立役者達にも迫る。

■来場は約600名、日本人以外の参加者が約半数

展示スペースの様子

#SVST2015はブース出展、ゲストスピーカーによるトークセッション/キーノート、スタートアップバトル(ピッチコンテスト)の3つのコンテンツをメインに開催された。ブースにはSENSORS でもお馴染みの宇宙開発チーム「HAKUTO」、VR/ARを活用した新スポーツの開発に挑む「meleap」、SLUSH ASIAのピッチコンテストで優勝した体験型広告の「VMFive」などが出展。トークセッション/キーノートではC Channelの森川亮氏や、UNITD手嶋浩己氏をはじめとした32名のスピーカーが登壇。日本人同士の対談であったとしても英語で進行される。スタートアップバトルでは事前予選を勝ち抜いた10チームが登壇。優勝したのは、海運での輸出入に関わる煩雑な業務をサポートするSaaSを開発する「Shippabo」。

キーノート会場の様子

会場に訪れたゲストの約半数は日本人以外。韓国や中国、シンガポールなどからの訪問者を確認することができた。

■これからはインターナショナルなイベントが「普通」になる

木下慶彦(きのした よしひこ)氏

#SFVT2015を主催する「Skyland Ventures」代表の木下慶彦(きのした よしひこ)氏は、本イベントを開催した経緯を次のように語っている。

木下:
4月に開催された「SLUSH ASIA」の影響を受けています。SLUSHでは投資家、起業家など海外から多くのゲストが日本にやってきました。日本のスタートアップのグローバル展開は誰もが課題に思っていることです。イベント全部を「英語」でやることによって、海外のゲストが参加するハードルが下がりますし、グローバルに展開するチャンスが格段に増えます。そういうイベントを日本でもっと増やしたくてSVFTを企画しました。

木下氏が26歳(2012年)の時に創業したSkyland Ventures(SV)は独立系のベンチャーキャピタルで約5億円のファンドを運用しており、スマートフォン/モバイル領域を中心に投資活動を行っている。SENSORS.jpで取り上げた、「ナナメウエ」「NAIN」もSVからの投資を受けている。

SVの特徴は何よりも木下氏の圧倒的な行動力だ。シンガポールで開催されたTech in Asiaに趣いたり、他のスタッフからの協力を得ながら海外からのスピーカーのアテンドや、国際色豊かな集客を成功させた。「日本一起業家に会う投資家」を自負しており、様々な場面に自ら足を運び、起業家を志す人ならば彼を知らない人はほとんどいないといってよいだろう。

やや余談ではあるが、社名に込められた「Skyland」の由来も紹介したい。人気漫画ワンピースに登場する「空島」のことである。ルフィが戦いの末「空島」にある「黄金の鐘」を鳴らした時、その鐘の音色が地上まで鳴り響き、誰も信じていなかった「空島」が実際にあったことを証明した。この鐘を鳴らすという行為は、企業が上場をする際に東京証券取引所で行う「打鐘」にかかっている。起業家の言うことを最初は誰も信じない。それが、東証の鐘を鳴らす行為(=上場)によって自分がやってきたことの価値が証明される。誰よりも起業家の理解者でありたいという木下氏自身の想いが「Skyland」という名前に込められているのだ。

#SVFT2015の開催は日本のスタートアップ業界の意義は大きいと思う。正直なところ#SVFT2015はSLUSH ASIAほどの規模も演出もなく、手作り感がとても強いイベントだ。だからこそ、All英語のグローバル・イベント開催のハードルを大きく下げ、小さい団体・会社でもあっても開催・運営できるというモデル・ケースを示したのではないか。

■「世界は日本を知っているけど、日本は世界を知らない」

運営統括の岡山 佳孝(おかやま よしたか)氏

#SVFT2015でさらに特筆すべきなのは、圧倒的な当事者意識を持つボランティアスタッフたちの存在だ。当日のみのスタッフであったとしても、準備期間のうちに数回開催される「決起会」を通じて、各メンバーのコミットを引き出していく仕組み。

岡山:
決起会があるかないかでスタッフのモチベーションが全然違うですよ。 自分ゴトにならないとみんな行動を起こさないじゃないですか。自分でやったほうが速いことでも、みんなができるようにするってことはチームでやるにはすごく大事だと思っていて、統括とてしても意識していたことです。

運営統括の岡山氏によれば、通常のスタートアップイベントの参加者や運営者とは違う層の人たちもスタッフとして参加しているようだ。

岡山:
#SVFTは「Global STARTUPS meet Global TALENTS」をテーマしています。だから、テクノロジーやスタートアップという軸の他にも国際交流を促進するような面もあるので、起業とかテックとかには興味が無いような人がスタッフとして参加してくれたりするんですよ。スタッフの説明会も全部で英語でやったし、運営コミュニティがこれまでのスタートアップイベントとは違う多様性があるものになっています。

ボランティアスタッフのCindy氏

ボランティアスタッフには、海外からの留学生も多く参加している。その中でも、オーストラリアからやってきたCindy Huang氏にスタッフに参加した理由を訪ねてみた。

Cindy:
世界は日本のことを知っているけど、日本は世界のことを知りません。#SVFTは日本の優秀なスタートアップや人材が世界と繋がることができる良い機会だと思ったんです。そのための手伝いができればとおもって、このプロジェクトに参加することを決めました。

「世界は日本を知っているけど、日本は世界を知らない」。日本でスタートアップのグローバル・イベント開催する意義はこの一言に集約されるのではないだろうか。

カジュアルなスタートアップ・イベント「#SVFT2015」。使用言語が英語というだけで、国際色豊かで、ビジネスの目線が世界基準になる。これからもSVFTのようなイベントが日本でも多く開催されていくだろう。「グローバル」「世界」という言葉が本当の意味で身近に、当たり前感じられる時はすぐそこまで来ている。

取材:石塚 たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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