音楽、スポーツ、食...エンターテインメントの未来を体感。SXSW2016を賑わせた数々のプロダクト

2016.03.30 19:00

2010年代も後半にさしかかり、テクノロジーは人間の生活を便利にするというミッションを終え、生活をより豊かに、人をより惹きつける「遊び」の要素を含みはじめている。それは米・テキサス州オースティンで開催されたミュージック・フィルム・インタラクティブの祭典「SXSW2016」の展示会場でも確認することができた。 「いま、ここ」ではない作り上げられた現実に没入するVRはその筆頭と言えるのかもしれない。そのほかにも、音楽やスポーツ、さらには食×エンターテインメントといった、人間の生活に必ずしも必要ではないかもしれないが、あると楽しくなる、そんな分野のプロダクトが多く見受けられた。
今回はその中でもサービスとして完成度が高く、もし日本に進出となった場合広く受け入れられるであろうものに焦点を当て、紹介していきたい。

■SXSW 2016 過去記事
#1【SXSW 2016】オバマ大統領らが語った "21世紀型の生き方"
#2【SXSW 2016】スタンフォードのフューチャリストによる「人工知能と仕事」
#3【SXSW 2016】自動運転車が初めて起こした事故から、Googleが得た教訓
#4【SXSW 2016】『スター・ウォーズ』最新作 監督 J・J・エイブラムスが語る「テクノロジーとストーリーテリング」
#5【SXSW 2016】水曜日のカンパネラ 米国での初パフォーマンスにオーディエンスは熱狂
#6【SXSW 2016】米WIRED生みの親ケビン・ケリーが語る「20年後の未来を作るテクノロジー」

・スマホ一つで誰でもDJ。ミュージックミキシングアプリ 『Vibble』

ノルウェー発のこちらのアプリ。自分のiPhone内の楽曲や、SoundCloudでLikeをしている楽曲データを順番に読み込み、画面をフリックすることでそれらの楽曲をミキシングしてつなげたり、画面上にあるボタンをタップし様々な効果音を自由に鳴らすことで誰でも擬似DJ体験ができる。

特筆すべきはその手軽さと操作性だ。通常DJプレイをする際には専用のミキサーが必要であり、その上、つなぐ曲同士のBPMを同期したり、つなぐ際の違和感を取り去るための様々な操作が必要になる。しかしこのVibbleではそういった煩雑な操作を一切排し、アプリ側で自動的に曲の同期をしてくれたり、フェードイン、スクラッチといった様々なDJスキルをワンタップで行うことが可能になっている。

既存の曲を様々な形でミックスすることで「音楽はアーティストが一から作るもの」という常識を覆したDJという職業が、次第に多くの人々にとってより親しみ深いものとなっていったように、人々が持つ微細なクリエイティブを刺激することができるこのアプリは音楽における創作活動のハードルをより一層下げていくことになるのかもしれない。

・カクテルを"ソーシャル"に。 バーテンダーいらずのIoTデバイス『Bernooli

各リキュールの入った瓶の先に取り付けることで、スマホアプリのカクテルレシピと連動し、レシピに応じた分量のリキュールを注ぐことができる優れもの。

Youtubeより

それまではバーテンダーが占有していた秘伝のカクテルのレシピが、パーティ会場で客の手によって作られることを目指して構想したというこのデバイス。アプリ上で自分が編み出したレシピをシェアすることもできる。 その完成度は非常に高く、すでにキットを出荷し始めているのだそう。

これさえあれば世界中で飲まれているカクテルが自分の家でも簡単に作ることができる。新時代のパーティーピープル御用達になること間違いなしのまさに「遊び」から生まれたテクノロジーである。

・健全な精神は健全な肉体から。体軸測定ベルトデバイス『端然

日本のSASSOR株式会社と博報堂が共同で開発したベルト型の体軸測定デバイス。日常生活の中で乱れがちな自身の姿勢についての問題意識から開発を開始したそう。

筆者も過去ボクシングをやっていた経験があるが、やはり人間の所作に最も重要なのは「体幹」。またそれは鍛える機会がないと失われていく一方であることを日々の生活の中でひしひしと実感していた。これがあれば、自分の感覚に頼ることなく誰でも正しい体軸を知ることができ、日々効率よくトレーニングを行うことができる。

出展した時点ではプロトタイプではあったが、今後ヘルスケア×テクノロジーの分野がより大きな広がりを見せるだろうという見方の中で、体軸はもっとも重要な位置を占めることになるのは間違いないだろう

・宇宙でもピザが食べたい!!3D"Pizza"プリンター『SPACE Pizza by BeeHex

SXSWの開催地テキサスで活動するBeeHexが出展していたのは、宇宙空間で自分の好きな形のピザ生地を作ることができる3Dピザプリンター。以前はNASAから実際に援助を受け宇宙でも動作する3Dフード(ピザ)プリンターを真面目に作っていたというBeeHex。

現在はクラウドファンディングで資金を募り、地球上でもピザをプリントできる3Dプリンターを実際に様々な人に届けられるように製品化しようと試みている。このプロジェクトが成功した暁には、出資者にはその額に応じた枚数のピザ生地が好きな形にプリントされ贈られるそうだ。

実際にデモでプリントされていたピザ生地。 アメリカの形をしている。

実際にテキサス州オースティンの町を歩いていると至るところにピザとタコスの店があり、現地でのピザ人気はやはり大きいようだ。ソーシャルグッドなプロダクトが並ぶ一方で、こういった遊びのあるプロダクトも一定数顔を覗かせ、来場者を飽きさせることがないと言うのがSXSWの魅力なのかもしれない。

取材・文:兵藤 友哉

1995年生まれ。フリーライター。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系在籍。テクノロジーを用いたアート表現を目下のところ勉強中。卒論のテーマは「映像表現における日本語の文字の動的遷移の手法とそれに起因する認知の変化の総量について」。専らの興味は「ポスト・ヒューマニズム」。SENSORSでは「VR」「ドローン」の記事を担当。
Twitter @do_do_tom

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