【エンターテックが世界を繋ぐ】#2「All That Matters」で知るアジアの音楽ストリーミング事情

2016.11.10 17:30

エンターテック・アクセラレーターとして、2016年に起業。エンターテインメント、テクノロジー領域を中心に世界中のカンファレンス出席、日本のプロダクトの海外展開の支援を行うParadeAll株式会社 代表取締役 鈴木貴歩氏。本連載は、「エンターテックが世界を繋ぐ」と題し、「エンターテインメント×テクノロジー=エンターテックはカルチャーを創る」をビジョンに世界中を飛び回り、仕事をする鈴木氏が実際に見て、聴いて、体験したことを伝えていく。
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第2回は9月にシンガポールで行われた「All That Matters」での模様を語ってもらった。鈴木氏はアジアの音楽ストリーミングを題材にしたパネルディスカッションに登壇している。

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■シンガポールでのイベントで語られた、アジアのストリーミング事情

--「All That Matters」とはどんなイベントですか?

鈴木:
元々は「Music Matters」という、昨年で10周年を迎えたアジア圏を中心とした音楽カンファレンスイベントから始まっています。デジタルやマーケティング、スポーツ、それぞれの盛り上がりによってこれらのテーマセッションが加わり、「All That Matters」という形に発展しました。

--鈴木さんは今回どんな役割で参加されたのでしょうか?

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パネルディスカッション「Asia Streaming Update」の様子

鈴木:
「Music Matters」内の「Asia Streaming Update」というパネルディスカッションに登壇しました。Sony Music、Spotify、Universal Music Indiaのメンバーとのセッションで、音楽ストリーミングサービスの現状を話してきました。

--日本の音楽ストリーミングの状況についてはどのようなお話をされたのでしょうか?

鈴木:
日本が、パッケージが音楽市場の70%以上を占めていることは今回もお話しましたが、これはどの国でお話しても驚かれます。
あとはLINE MUSICが始めたタイムラインBGM、着うた、リングバックトーン(呼び出し音)を通してもう一度「パーソナライゼーション」の波がくるんじゃないかという話はしました。アジアで少し前までモバイルで流行っていたのは,日本も含めリングバックトーン(呼び出し音)でした。スマホになって売上げが落ちたんですが、メッセージングアプリと音楽が結びついて、パーソナライズな音楽利用がリバイバルしかけているというのは、もしかしたら他のアジア圏でもでてくるサービスなのかなと。

--音楽ストリーミングサービスの国ごとの違いはあるのでしょうか?

鈴木:
どこの国も月額モデルですね。国によって料金が安い、普及のペースが違うということはありますが、サービスとしてどう機能するかについては、あまり違いがないのかなと感じました。

--アジア諸国で気になる話題はありましたか?

鈴木:
インドではPCインターネットを飛び越し、モバイルインターネットが主流になっています。だから現状はスマホストリーミングで音楽を聴くという環境が盛り上がってきているそうです。少し前まではダイヤルQ2のように電話をかけて、音楽を聴くというサービスもあったんですよ。

また、インドといえば「ボリウッド」(インド映画産業の通称)にはインド音楽を起用というイメージがあるんですが、それも変わって来ているそうです。映画では若手監督が普通に洋楽を起用するそう。スマホの発達によりYouTubeが普及してきた、というのも要因でしょうね。MTVがインドに参入した20年前には、インドで洋楽ばかり放送していたらウケが悪くて、現地の楽曲を流したらウケがよかったんですが、現在はスマホとプラットホームの影響で変わったんですね。

■インドネシアと中国の持つ可能性

--アジアでこれからストリーミング市場が伸びる国はありますか?

鈴木:
人口増加しているインドネシアと、QQMusicがある中国ですね。
中国では、スマホの普及によってバーチャルギフトを送ることが普及しているようです。QQMusicの契約者は8億人、マンスリーアクティブユーザーが4億人、デイリーが1億人と聞いています。有料プランは月額約150円で、契約者数が1000万人くらいだということです。

--さすが、中国は規模がすごいですね。グローバルではどのストリーミングサービスが生き残っていくのでしょうか?

鈴木:
それぞれの国のエコシステムをどう利用していくのかがカギじゃないでしょうか。一番印象に残っているのは、ユニバーサル時代にストリーミングサービスが入ってくるときのことですが、やはり「パッケージが売れなくなる」という声はありました。でも本社の考えは「まずはやってみて、その環境の変化に合わせてチューニングしていけばいい」という言っていたことが印象に残っています。数値結果をちゃんと見て、議論して音楽業界とプラットホームが協力して改善していくというのが大切なんでしょうね。

--ちなみに、他ジャンルで印象に残った方はいらっしゃいましたか?

鈴木:
アメリカのWWEという世界最大のプロレス団体です。チーフブランドオフィサー&TVパーソナリティのステファニー・マクマホンが登壇していました。彼らの興行はスポーツではなく、「肉体美を見せるエンターテインメント」として見せているそうです。

その他セッションでは、電気自動車で競われるチャンピオンシップ「フォーミュラE(Formula E)」のセッション等もあり、新しいテックを活用したスポーツを取り上げていくことで、イノベーションをいろんな角度から浮き彫りにしているイベントだなと感じました。

世界中でエンターテック情報を吸収している鈴木氏。今回参加されたカンファレンスの「All That Matters」はスポーツから、音楽まで幅広く多角的に「エンターテインメント」を追求しているカンファレンス。
日本でも「エンタメ」を幅広く捉え、異業界同士が交わって新しいアイディアができるようなカンファレンスが増えればと思う。次回はどんな国の話が聞けるのか...?訪れたことがない皆様にもWEBで空気を感じられるような連載をお楽しみに。

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ライター:gako

ネット企業、通信キャリアを経て、音楽業界。 マーケティング・戦略・新規事業立案などを担当。 エンターテインメント×テクノロジー(EnterTech)分野で 企画・プロデュースを行い、世の中に新しい楽しみを提供することに挑戦中。
Twitter:@gakoara ブログ:http://gakoara.com/

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