【エンターテックが世界を繋ぐ】#4 ポルトガルで体感した、テクノロジーカンファレンスの熱気と可能性

2017.02.09 18:30

エンターテック・アクセラレーターとして、2016年に起業。エンターテインメント、テクノロジー領域を中心に世界中のカンファレンス出席、日本のプロダクトの海外展開の支援を行うParadeAll株式会社 代表取締役 鈴木貴歩氏。本連載は、「エンターテックが世界を繋ぐ」と題し、「エンターテインメント×テクノロジー=エンターテックはカルチャーを創る」をビジョンに世界中を飛び回り、仕事をする鈴木氏が実際に見て、聴いて、体験したことを伝えていく。
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第4回はポルトガルのリスボンから。世界中から約5万人もの人が参加するテクノロジーカンファレンス「Web Summit 2016」で体感した熱気について、現地の様子を語ってもらった。

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■世界中から5万人が参加する大規模イベント

--「Web Summit 2016」はテクノロジーのマーケットプレイスと称されるとても大きなイベントですよね。

鈴木:
ポルトガルのリスボンで、「Web Summit 2016」に11月8日〜10日に参加し、その中で一日KAGURAを出展してきました。 Web Summit側から選ばれたスタートアップだけが出展できる「ALPHA(アルファ)」というブースです。KAGURAはエンターテインメント領域のブースでしたが、隣はアイルランドからのアイリッシュパブのサブスクリプションサービスのプロトタイプが出展していたり、反対の隣はイランの音楽ストリーミングサービスが出展していたり。中東やアフリカからも出展していましたね。

--ブースの反応はいかがでしたか?

鈴木:
会場も広かったので、埋もれてしまうかなと思っていたんです。でも、朝からひっきりなしに人が来て、休む暇が1秒もないくらいでした。気に入ってくれた人はブースを見た後に、後で友達や同僚を連れて来てくれました。
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--カンファレンスステージだけでも、規模がすごいですよね。

鈴木:
そうですね、ステージだけでも、延べ24ステージありました。ロボット、クリエイティブ、ヘルスケア、ミュージック、フィンテック...本当にありとあらゆるジャンルが網羅されている感じです。センターステージは2万人くらい入る広さがあって、まるでさいたまスーパーアリーナでカンファレンスをやっているような(笑)。初日の夜は人が集まり過ぎて中に入れなかったくらいです。

■エンタメをビジネスとして捉え、ナレッジとしてシェアする

--スピーカー陣もすごく豪華ですよね。

鈴木:
カルロス・ゴーンとか、Ne-Yoとか。日本からはLINEの出澤(剛)社長が登壇していましたね。音楽ではフェスのバーニング・マン、ストリーミングサービスのDeezer、SoundCloudとか。SoundCloudはCTOのEric Wahlforssが登壇していて、「Spotifyに買収されるという話があるけど、自分たちは独立経営を守ろうと思っている、Twitterとは連携の話をしている」と話をして後日ニュースになっていましたね。

--海外のカンファレンスでは、音楽がテクノロジーのフェスに登壇するということが当たり前にありますよね。ミュージシャンも登壇者としてビジネス面について話したり。

鈴木:
そうですね。やっぱりナレッジをシェアする傾向はありますね。エンターテインメントというと、夢を売る商売で、あまり裏側を見せたくないというのがあると思うのですが、海外ではビジネス自体もある種のエンタメと捉えて、そこも包み隠さず話すという傾向があるかも知れません。

--エンタメの他にも、気になった分野はありましたか?

鈴木:
都市開発です。中東や東ヨーロッパ、北アフリカなどの、街自体がこれから発展していく国では都市開発(スマートシティ)のブースが結構あったりして、興味深かったですね。日本のように成熟した国だとなかなかそういうブースは見る事がないので。

■テクノロジー・スタートアップに注力しているポルトガル

--ポルトガルのリスボンの印象はどうでしたか?

鈴木:
今までWeb Summitはアイルランドのダブリンでやっていたんですが、リスボンは、スタートアップのエコシステムを作ろうということを目指していて誘致したようです。Web Summitにもポルトガルの首相が登場し、国をあげてテクノロジー・スタートアップに力を入れていこうという勢いを感じましたね。 Web Summitにはアフリカや東欧等、日本からアクセスしづらい国の人が沢山参加しており、新しい可能性を掴むにはすごく面白い場所だなと思いました。 ナイジェリアなんかは人口も多いですし、KAGURAのような言語を超えたプロダクトやサービスを持つスタートアップにもチャンスがあるのかもしれません。

--鈴木さんがこれまで訪れた都市の中で、同じような熱気・可能性を感じた都市はありますか?

鈴木:
2016年に訪れた都市ではリスボンが一番勢いがありました。街の至る所でビル工事が行われていて、日本の1950年代の高度成長期はこんな感じだったのかな?と思いました。 また訪れていないのですが、3月末に伺う予定のエストニア・タリンに非常に期待しています。エストニアは電子政府政策を進めていて、ほとんどの公共サービスがデジタルで提供されています。フィンテック、セキュリティといったこれから重要になってくるテクノロジーを持ったスタートアップが多くいると聞いていますので視察が楽しみです。
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「KAGURA」を手がけるしくみデザイン 中村俊介氏(右)と

■世界的なエンターテックブームを作っていきたい

--最後に、2017年の鈴木さんはどのような事にことに取り組んでいきたいですか?

鈴木:
2016年は10カ国行きました。起業したことでフットワーク軽く様々なことができるようになり、海外のカンファレンスで登壇させていただく機会など、新しい機会を自分で掴めるようになったと思います。それはある種、自分が望んでいた働き方だったと思います。会社のミッションを達成するのではなく、白紙の上に自分で線を描いて行く事ができることはすごく楽しかったです。 2017年は、2016年に作ったネットワークと日本を上手く接続して、日本のスタートアップを育てるお手伝いをし、グロースさせる仕組みを作って、世界的なエンターテックのムーブメントを作っていきたいですね。
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ライター:gako

ネット企業、通信キャリアを経て、音楽業界。 マーケティング・戦略・新規事業立案などを担当。 エンターテインメント×テクノロジー(EnterTech)分野で 企画・プロデュースを行い、世の中に新しい楽しみを提供することに挑戦中。
Twitter:@gakoara ブログ:http://gakoara.com/

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