TECH::CAMP 取締役・中山紗彩を突き動かす想い「人の可能性の実に花を咲かせること」

2016.08.31 12:00

4,000人以上の受講者を輩出し、10月には「VRコース」を開講予定のプログラミングスクール「TECH::CAMP」。弱冠25歳ながら、運営会社divで取締役を務めるのが中山紗彩さんだ。学生時代には業界初、パジャマに特化したファッションショー「パジャコレ」を手がけ、新卒でリクルートキャリアへ入社。入社直後には社内新規事業提案制度「New RING」で、「うさぎノート」を事業化させた。「若い可能性のある実を見つけて、その実に花咲かすこと」を自身のフィロソフィーに掲げる中山さんに、「何が彼女を突き動かすのか?」推進力の裏にある想いに迫った。
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■「パジャコレ」を手がけた学生時代、"ゼロイチ"に目覚め、リクルートに入社するまで

中山 紗彩(なかやま さあや): 1991年生まれ。大学在学中コンサルティング実行事業の立ち上げを経験したのち、2014年4月リクルートキャリア社に新卒入社。社内新規事業提案制度にて、教育機関の先生と保護者のための連絡サービス「うさぎノート」を立ち上げ。2016年4月11日div社取締役就任。

--まずは、すでにビジネスに従事していたという学生時代の話から聞かせてください。

中山:
法人のお客さんを相手に20代女性向けの事業開発や、マーケティングに関するコンサルティング事業を行っていました。そのきっかけになったのが、「パジャコレ」という女子大生モデルによるパジャマのファッションショーを手がけたことです。第一回目の開催でTwitterの日本トレンドに入り、Ustream中継では数万人の視聴者を獲得、協賛企業も約30社集まりました。

広く女性向けにリーチできる場作りや、女性に刺さるコンテンツ作りのための商品開発やマーケティングコンサル依頼に奔走していた中山さんは当初、広告代理店に就職することを考えていたという。結果的にリクルートへ入社することになるわけだが、そこにはいかなる心境の変化があったのだろうか。

中山:
お仕事をいただいていた時は、どちらかというと広告代理店の仕事に近いマーケティングやプロモーションの仕事と、完全に新しいサービスをゼロから作り出す仕事の二種類ありました。仕事を進めるうちに、ゼロイチの後者でこそ自分の価値発揮ができるのではないかと思いリクルートへ入社を決めました。

--ちなみに、そのゼロイチの仕事とはどのようなものだったのですか?

中山:
それこそ自分も後に所属することとなる、リクルートのメディアテクノロジーラボ(MTL)との共同事業です。女性向けのアプリケーションを作るというお題に対し、「あさとけい」というアプリを作りました。このアプリがヒットするまでの経験を通じ、持続可能な事業をチームで立ち上げたいという思いを強く持つにようになったんです。

■入社直後に「うさぎノート」を事業化、リリースから1年で数万のアクティブ会員を獲得する

入社の翌月には社内新規事業提案制度「New RING ‐Recruit Ventures‐(リクルートベンチャーズ)」に教育機関の先生と保護者のための連絡サービス「うさぎノート」を起案し、審査を通した。そのために内定が決まった直後から、準備を進めていたのだとか。

中山:
初めは通常の業務と兼務でしたが、同年の12月より「うさぎノート」に100%コミットする形に切り替わりました。担当が私一人だったため、与えられた予算と採用権でまずはエンジニアを採用しましたが、サービスが完成する前から営業は行っていました。実際にリリースされるのは翌年の6月ですが、それまでにイメージモックで営業を行っていたため、契約は獲得できている状態です。

--そこでの経験が後に、TECH::CAMPでの広報としての仕事にも生きていますか?

中山:
社会的ステータスが皆無だった学生時代にも、個人事業主として、ビジョンと想いだけで協賛やお仕事を頂きに行くことはやっていました。リクルートキャリアにいた頃も、「すごい時間割」というサービスのプロモーションの一環でハーゲンダッツさんとアライアンスを組み、アイス7,000個を学生に配ってダウンロードを促進する施策を行いました。ビジョンを持って行動することは学生時代から一環して行ってきたことであり、自分も強みだとも思います。

--「うさぎノート」がリリースされてからは、どのような動き方をしていたのですか?

中山:
リリースした後は、導入後のフォローに注力しましたね。どんどん新規のお客様を取りに行くというよりは、しっかり地に足をつけて、いかに使い続けてもらえるのかを重視しながら事業を作っていきました。

サービスのリリースから約1年で数百教育機関、数万会員がアクティブ利用する事業へと成長させた中山さんは、リクルートを退職する決断を下す。入社直後に起案したサービスを軌道に乗せ、新たなステップへ踏み出す瞬間にはどのような想いを抱えていたのだろうか。

中山:
働く環境を選ぶにおいて、私が大切にしているのは「自分の価値発揮を最大化できる場所に居ること」なんです。「うさぎノート」を通じ、リクルートに入る理由であった「立ち上げから事業を作り上げる経験」は積めたという実感が自分の中にありました。次のキャリアパスを考えたときに、自分が経営メンバーとして携われるところに行きたいと思いました。

■TECH::CAMP取締役に就任、人の可能性を引き出せるチームに共鳴

ただし、辞める時点でTECH::CAMPにジョインすることは全く決まっていなかったという。とにかく使命は果たしたので、まずは辞めてから考えようと、会社を飛び出した。 学生時代からの旧知であるTECH::CAMP代表よりオファーを受け、経営企画部に入社後、2ヶ月後には取締役に就任。自ら事業を立ち上げるのではなく、経営メンバーとしてTECH::CAMPに入ることに決めたのには「人の可能性の実に花を咲かせる」という揺るぎない自身のフィロソフィーに共鳴する組織があったからだという。

8月に執り行われた執行役員の結婚式にて、TECH::CAMPメンバーの集合写真。

中山:
私は元々、人の可能性を引き出せるチーム(組織)作りに強い想いを持っていました。現在社員18名、業務委託の方々が約100名いるのですが、それぞれに素晴らしいメンバーが一つのチームとしてまとまっていることに惚れ込み、TECH::CAMPにジョインすることとなりました。加えて、当時TECH:CAMPは受講者が一定数で停滞していました。もう一段階事業をグロースさせるために、広報、採用業務を主担当として自分の価値を最大限に発揮できるのではないかと思ったのが決め手です。

--広報の仕事を始め、現在に至るまで苦労はありましたか?

中山:
もちろん私一人ではなくチーム全体として挙げた成果ですが、月次の受講者が約2倍に増えたことは、すごく嬉しかったです。そもそも私は愛想の良い方でもないし、リレーションシップを築くのは得意な方ではありません。それでも自分の価値が発揮できたと思うのは、世の中の様々なトレンドに常に目を向け、記者の方が面白い記事を書きやすい切り口を伝えることを意識したからかなと思っています。私たちの取り組みはもちろんのこと、他社の事例や海外の動きまで、丁寧な情報提供は心がけています。
結果として、この半年でテレビ・雑誌・ウェブと約70のメディアに取り上げていただきました。

--受講者が再び月次500名へと拡大した今、TECH::CAMPはどのようなフェーズにいて、どこを目指しているのですか?

中山:
これまでは未経験で1ヶ月間でサービスを作れるエンジニアになれるコースに注力していました。今後は三ヶ月間(400時間)でプロのエンジニアになれる「エキスパートコース」に注力しています。私たちの会社は「日本のエンジニアのリソース不足を解消すること」を謳っています。さらに卒業生の活躍具体支援という枠組みで人材紹介領域にもドメインを広げていき、教育から人材活用支援まで一貫して支援させていただくことで価値を提供し、人の可能性を広げる事業へと成長させていきたいです。

■人の可能性の実に花を咲かせ続けていく

仕事に取り組む以前に生き方として大切にしている「人の可能性の実に花を咲かせる」というビジョンは、自分自身の言葉なのだという。その原体験は小中高を過ごした一貫女子校での厳しい日々がある。厳格な校風とルールの下、「良い子でいること」が常に求められ、異端児の気質を持つ子はすぐに叱責を受けた。

中山:
「ルールだから、良い子でいなさい」の一点張りで、正直自由な校風ではありませんでした。それでも私の両親は「自分が正しいと思った道を進めば良いよ」と常に私の気持ちを尊重してくれました。そのため自己肯定感を保ちながら生きていくことができましたが、仮にそういうタイプではなかった場合、挫けてしまってもおかしくないと思うんです。だからこそ(特に自分のような異端児の 笑)周りの子の可能性の芽を摘まさせず、常に味方で、その子の意思や挑戦を尊重できる存在でありたいとずっと感じていました。

--最後に、今後はどのような生き方をしていきたいですか?

中山:
自分の世界や成し遂げたいことを突き詰めて、世界でチャレンジをしている人にはいつも胸を打たれます。誰になんと言われようがそこに情熱が湧くなら、自分のやりたいことをやる方が、後から絶対に後悔をしないと思うんです。私自身、今後も人の可能性を引き出せる事業・組織作りを続けていきたいです。

休日のお昼に開催される女性限定のトークセッション・交流会・プログラミング体験会イベント「TECH LADY HOLIDAY(テックレディホリデイ) 」。現在までに二回開催、両回とも約100名が集まる注目度の高いイベントとなっている。

中山さんは現在、「TECH LADY HOLIDAY」というイベントも手がけている。「早く結婚して、仕事を辞めたい」と周りの優秀な友人たちが口々に言っていたことに疑問を持ったことがイベントを始めるきっかけだったという。"場所と時間に囚われず、女性ならではの感性を生かせる仕事"を手にいれる手段のひとつとしてプログラミングの有用性を発信し、女性の働き方の可能性を広げるのが狙いだ。「TECH LADY HOLIDAY」は今後も継続的に開催していく予定だという。「人の可能性の実に花を咲かせること」、美しく色鮮やかな花がすでに咲き始めている。

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。修士(学際情報学)。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集/ライティング。『PLANETS』や『HIP』では構成を行う。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。将来の夢は馬主になることです。
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