"スマホネイティブ"のインスピレーションで広がるテレビの可能性--中川悠介(アソビシステム)× 森泰輝(VAZ)

2017.09.21 00:00

「ティーンカルチャー」をテーマに行われたSENSORSサロン。中川悠介氏(アソビシステム)と森泰輝氏(VAZ)を迎え、MC落合陽一×齋藤精一がティーンカルチャーの現在と展望をディスカッションした。

4回にわたってお届けする最終回、第4弾記事では、テレビ離れが叫ばれるティーンにとって、今後テレビがどのような存在になっていくのかが語られた。最後にはティーンカルチャーに精通するゲスト二人から、テレビがティーンに求められるメディアであり続けるためのアイデア、さらに、次世代起業家へのアドバイスも示された。

※本記事の内容は2017年7月に取材したものです

■ ティーンにとって、テレビは"数あるメディアの一つ"

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--ティーンカルチャーをよく知るお二人は、10代の子たちにとって今後テレビはどのような存在になるとお考えでしょうか。

中川悠介(以下、中川):
僕はテレビ世代なので、テレビの価値はなくならないと思っています。ただ、若い子たちからするとテレビもYouTubeもタレントのSNSも同じ存在になってきているのではないでしょうか。テレビも数あるメディアの一つであり、「観たいものがあれば観る」になる。特別な存在ではなくなる可能性はあります。僕たちが子供の頃は、観たい番組が見つかるまでチャンネルを回していましたよね。その動作の前にスマホがあったり、SNSがあるイメージです。
森泰輝(以下、森):
現在テレビを観る習慣がある人は今後もテレビを観続けると思うので、テレビが無くなることはないはず。ただ、同様にテレビをほとんど観る習慣がない10代が急にずっと観始めることも考えにくい。テレビを観ている層と観ていない層の断裂がより激しくなると思います。

■ティーンのテレビ人気復活の鍵は、テレビ業界のアセット×スマホネイティブのインスピレーション

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--スマホネイティブと呼ばれる世代が増えていくなかで、テレビに求められることはなんだと思いますか?

中川:
一番大事なのは作り手の熱量だと思います。素人でも、YouTuberでも同じで、作ることに対しての想いや情熱が最終的な肝になるのではないでしょうか。
齋藤精一(以下、齋藤):
熱量は大事ですよね。感覚論ですが、作っている人たちの熱量が高いと、たとえ動画でも、音楽でも、伝わるメッセージが違ってくるような気がしています。森さんはいかがですか?
森:
YouTubeに寄せたコンテンツを作るのはポイントです。YouTuberがティーンに人気になる理由は明確で、接触回数をコントロールできるから。テレビにしか出ていない人は、結局自分では接触回数をコントロールできません。テレビ局の制作力は非常にクオリティが高いので、強みを掛け合わせながらコンテンツを作るのが鍵だと思います。
落合陽一(以下、落合):
テレビはおそらく、もう一度化けると思います。今は1クールで同じタレントを起用することがテンプレートになっていますが、まったく違う人が出てもいい訳ですよね。演者が最大公約数的な人である必要もない。

また、もう5年も経てばテレビ局にスマホネイティブが入社します。スマホネイティブの発想じゃないと出て来ないアイデアも生まれるはず。テレビは一家に一台はあるデバイスなので、そう考えると非常にポテンシャルが高い。

今後は、かつてYouTuberだった人がテレビ局に入社するようになるかもしれない。接触回数の問題も知っていますから、人気タレントを番組内で生み出すことだって難しくないはず。テレビ業界が持つアセットにスマホネイティブのインスピレーションを掛け合わせることでティーン人気は復活するでしょう。僕はそういったテレビの明るい未来を期待しているので、今もこうしてテレビに出ています。

■ 時代のニーズを読み切るため、若者とのコンタクト数がビジネスの勝敗を分ける

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(右より)中川悠介氏、森泰輝氏

--最後に、これからビジネスを始めようとしている若者にゲストのお二方からヒントや心構えをお聞かせいただけますか?

中川:
今までは感覚論で仕事を成り立たせるケースがほとんどでしたが、今日お話を伺って若い世代の意見を元にロジックを構築する必要性を感じました。ティーンカルチャーはティーンだけが理解しているので、若い世代の採用も積極的に行っていくのがポイントになるのではないでしょうか。
森:
かつては有力なプロデューサーがいればヒットを作れた時代。ただ、現在のティーンはタレントにしか作れない世界観を好みます。魅力的な原石を見つけ、いかに介在価値を作れるかを考えることにビジネスチャンスがあると思います。


10代と10代より上の世代の人では、見ているSNSやメディアがまったく違う。その現状を鑑みて、MCの落合は「従来のマーケティングは通用しない」と言った。
変化するカルチャーの全容は「"スマホネイティブ"の空間共有、恋愛観とは?」に詳しいが、利用するメディアはおろか空間共有や恋愛観、コミュニケーションの方法すらパラダイムシフトが起こりつつある。

戦後の日本において、あらゆるメディアのなかでも圧倒的な影響力を誇ってテレビでさえも例外ではない。ゲストの森氏は「10代はテレビの代わりにYouTubeを観ている」と語る。
ティーンカルチャーの勃興とテレビの最盛期を知る世代の一人として、ティーンカルチャーにおける主要なメディアはテレビではなくなりつつあると感じている。ゲストの中川氏が話したように、メディアはカルチャーの変化に合わせてスタイルを改めなければならないだろう。しかし逆を言えば、MC落合が語るようにティーンカルチャーに寄り添うことで、10代の間でも再び輝きを取り戻すポテンシャルがテレビにはある。そして、スマホネイティブたちの知見とテレビ業界のアセットが組み合わさることで新たなビジネスモデルも生まれるかもしれない。

今回登場いただいたゲストお二方とのディスカッションから、若者の生態系を紐解く鍵、そしてテレビの新たな可能性が垣間見えたのではないだろうか。

【ティーンカルチャー--中川悠介×森泰輝対談】
大人が知らない10代の新常識"ティーン向けマーケティング戦略とは?"
"スマホネイティブ"の空間共有、恋愛観とは?
「ネット上で売れるタレント」の素質とは?
"スマホネイティブ"のインスピレーションで広がるテレビの可能性

構成:オバラミツフミ

秋田県湯沢市出身。趣味は商店街を歩くことと喫茶店を巡ること。
Twitter:@ObaraMitsufumi
Mail: obaramitsufumi[アット]gmail.com


編集:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。修士(東京大学 学際情報学)。
Twitter:@_ryh
Mail: ry.h0508[アット]gmail.com

カメラマン︰松平伊織

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