篠崎愛×Saqoosha〜300名以上のクリエイターが集った「Hack Day 2016」

2016.03.03 09:00

2月13〜14日、プログラマーを中心とした300名以上のクリエイターが一堂に会し、24時間でIoTプロダクトやアプリのプロトタイプを作るハッカソン「Hack Day 2016」が開催された。SENSORSでは本番前にイベントの目玉の一つである、Saqoosha氏(dot by dot inc. )と篠崎愛さんがタッグを組んで開発された「愛のチョコバズーカー」についてお話を伺った。イベントの様子も審査員(及川卓也氏、Saqoosha氏)のコメントと共に紹介する。

■300人以上が参加した「Hack Day」:グランプリは料理のカメラアプリ「グルメスパイ」

「Hack Day 2016」では、総勢333名、85チームが参加し24時間でプロトタイプを開発するという大規模なハッカソンが行われた。

グランプリを獲得した料理のカメラアプリ「グルメスパイ」

グランプリに輝いたのは、スマホを持ち上げている間は自動撮影で周りの目を気にせずに料理の写真を撮れるカメラアプリ「グルメスパイ」。ゴールドはf(z)=az+b/cz+d 球面ディスプレイ&ジェスチャー操作でメビウス変換を可視化する「ぬるぬる動くメビウス変換」、シルバーは紙に印刷されたWebサイトのリンクを辿れる、シルバー層に優しいブラウジングシステム「IoP」、そしてブロンズはスマホと連動し服を自動でたためるシステム「BATAMU」が受賞した。(詳しくは結果ページを参照)

この作品群を審査したのは主催・Yahoo! JAPAN執行役員村上 臣氏、大阪大学教授 ロボット学者 石黒 浩氏をはじめとする7名だ。SENSORSでは特別に審査員及川卓也氏(Increments株式会社)とSaqoosha氏(dot by dot inc.)からコメントを頂戴した。

「Hack Day 2016」の審査員たち(写真提供:Yahoo! JAPAN)

及川:
「Hack Day」は初めて拝見しましたが、24時間の開発成果を90秒で発表というスピード感がとても心地よかったです。Tech業界でここ数年、スライドは一切無しで短時間のデモだけで発表を行うDEMO DAYなるものが流行しています。Hack Dayはスライド禁止まではされてませんでしたが、結果的に上位に選出されたものはデモや動作状況のビデオを中心に見せるなど、DEMO DAYと同じように、実際に「動く」ということを重視したイベントでした。チーム入れ替えの間の60秒間で審査しなければならないなど審査員にもスピード感を求められ、こちらも刺激を与えられました。

興味深かったのは、毎朝家族の誰もが使う鏡というデバイスにさまざまな情報を表示する作品です。一種のデジタルサイネージなのですが、誰が鏡の前にいるかを識別することでパーソナライズも可能です。実際に見せてもらいたかったのですが、体調を崩されたとかで触れなかったのが残念です。要素技術自身はすでにあるものですが、産業用ソリューションがコモディティ化していくのもこのようなハッカソンの醍醐味でしょう。
イベントのダイジェスト
Saqoosha:
私はハッカソンというものに参加したことがなかったので、実際に近くで体験したのはこれが初めてでした。全体を通した印象としては「やっぱこれハッカソン=ハック+マラソンっていうだけあって、スポーツに近いものだなーっ」ということです。わずか 24 時間で企画・実装・プレゼンテーションをうまく時間配分してまとめないと勝てない。そのためにはチーム構成もかなり重要だし、過去に参加したことのある人をいれるのも有効っぽいです。

ゴールド受賞の「ぬるぬる動くメビウス変換」は「リーマン球面上のメビウス変換を可視化する」ことでそれらの理解を助ける、というかなりニッチな企画ではあるものの、ちゃんと問題解決できていて、24 時間でいい感じに実装しきれるサイズの企画で完成度も高かったので個人的には評価しています。

今後に期待することとしては、こういった場でぶわーっと出てきた素晴らしいアイデア・プロトタイプを単に「おもしろかったねー」で終わることなく、ちゃんとプロダクトとして成立させられるような取り組み・プラットフォームができたらよいなーと思っています。

■梶原洋平氏(BIRDMAN)×カンニング竹山、Saqoosha氏(dot by dot inc.)×篠崎愛による「COLLABO HACK」

ハッカソンに加え、今年から創設された、著名プログラマー×芸能人による「COLLABO HACK」も二組行われた。 一つは梶原洋平氏(BIRDMAN)×カンニング竹山さんによる次世代型タライ芸「タライドローン」。竹山さんが"大声でキレる"と、それをドローンが感知し自動的にタライが落下する。

【左から】Saqoosha氏(dot by dot inc.)、篠崎愛さん、カンニング竹山さん、梶原洋平氏(BIRDMAN)(写真提供:Yahoo! JAPAN)

もう一つのコラボ作がSaqoosha氏(dot by dot inc.)×篠崎愛さんによる「愛のチョコバズーカー」だ。篠崎愛さんのダンスに合わせ、モーションキャプチャでパフォーマンスの動きを感知し、「投げキッス⇒唇型」「ウインク⇒星型」「手でハートをつくる⇒ハート型」と形を変えたチョコのバズーカーがリアルタイムで発射される。

「愛のチョコバズーカ」のメイキング

本番のステージで篠崎さんは、自身の楽曲「メモライズ」を生ライブで歌いながら3つの動きを連発し、会場に向かってバズーカを放出。会場はバズーカが発せられる度に、大歓声が湧いていた。

■クリエイターと数々のコラボをしてきた篠崎愛が初めて体験した"モーションキャプチャ"

SENSORSでは、ハッカソン本番に先立ちコラボハックの一つ「愛のチョコバズーカー」Saqoosha×篠崎愛の制作現場に潜入させていただいた。以前「テクノロジーに愛されたアイドル・篠崎愛の2015年」記事でクリエイターとコラボの多い篠崎さんを取材したが、今回の「愛のチョコバズーカー」ではどのようにテクノロジーとコラボレーションしたのか。本番前の緊張が走る現場で開発者のSaqoosha氏と共にお話を伺った。

篠崎:
モーションキャプチャを使ったテクノロジーは初めて体験しました。投げキッスをしたり、手でハートを作ったり、私の動きに合わせて、形の違ったチョコレートが発射するのが不思議でワクワクしました。

【左から】Saqoosha氏、篠崎愛さん

Saqoosha:
dot by dotはよく「技術の無駄遣い」ということを言われるのですが、今回もまさしくそれを体現したコンテンツになったかと思います。映画でも使われるような本格的なモーションキャプチャ・スーツを、バズーカを発射するためだけに使っています。

クリエイターのクリエイティビティを刺激しテクノロジーを拡張し続ける篠崎愛さんと、デジタルクリエイティブ業界でトップに立つエンジニアSaqoosha氏のコラボレーションはハッカソン参加者にも2016年らしい「テクノロジーバレンタイン」の贈り物になったに違いない。参加者も審査員も刺激を受けるHack Day、次回の開催も楽しみに待ちたい。

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh


写真:萩野格

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