2014年 チームラボ・猪子寿之、電通・菅野薫が「やられた!」クリエイティブとは? 第4回SENSORS SALON トップクリエイターが語るクリエイティブの今と未来への挑戦(1/7)

2014.12.27 18:30

2014年最後となったSENSORS SALON。
メンバーは第1回に参加したバスキュール・朴正義、チームラボ・猪子寿之の2氏に、PARTY・伊藤直樹、電通・菅野薫が加わった。
広告、アート、エンターテイメントを牽引するトップランナー4氏が2014年のクリエイティブを振り返りつつ、2015年、そして未来を展望する。
第4回SENSORS SALON #1/7


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■生理的に「気持ちいい」universal everything "Waling City"


--先ずは菅野さん、「2014年、コレはやられた!」という"クリエイティブ"や"体験"を教えて下さい。
菅野: universal everythingというアーティストの"Walking City"という映像作品です。もともと1964年にイギリスの前衛的な建築家集団・アーキグラム(Archigram)が同名のアート作品を発表していたんです。
これをモチーフに50年後にCG作品として発表されたのが今作です。


http://www.universaleverything.com/projects/walking-city/


僕は広告の仕事をしているので、常に課題解決を求められます。
でも、それとは全然違う、今作のように人間とおぼしき都市が有機的にただひたすら歩いているのが感覚的に"気持ち良い"というのが真ん中にある表現にやられてしまいます。


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菅野氏


人間が表現を受け止めたときに、生理的に"気持ち良い"というのは感覚としてすごく重要なのですが、広告ってどうしても企画から入りがちで...。
黙って見ているだけで、"気持ち良い"という感覚になれるこの作品は好きですね(笑)。


■既成概念を超えた植物園"Gardens by the Bay"

--猪子さんは「コレはやられた!」というモノありますか?
猪子: 2014年というわけではないですが(笑)、シンガポールの"Gardens by the Bay"という植物園ですね。
コレ都市のど真ん中にあるんですよ。
もしも「植物園をつくれ」っていうお題をもらったときに、ここまでめちゃくちゃにできたかな...ていう。


http://www.gardensbythebay.com.sg/en/home.html


菅野: わりと先入観に囚われていたということですか?


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猪子氏


猪子: 「俺、植物園って知らなかった」と思うくらい、植物園の固定概念を超えていて...。
真ん中の塔にある植物が段々上にいって、いずれ植物に覆われる予定らしくて。
夜になるとLEDが光の塊みたく裏から輝く。
その演出も一時間に一回くらいあったりして、ここまでめちゃくちゃにしていいんだ...っていう。


--わりとエンターテイメントに近いということですか?


猪子: いや、一個の巨大な彫刻というか、巨大なアート・インスタレーションですね。
夜は演出とともに完全にライトアップされて、音楽もかかって、塔も歩けたり。
都市の中にあるべき森のような。
どこまで本当かは分からないのですが、全体で新しいエコシステムとしても設計されてるらしいんですね。
たとえば、市街でカットした木を全て植物園の一箇所に集めてエネルギーを担保していたり、広がっている屋根がソーラーパネルになっていて、夜の照明を担保してる。
あとは建物の形が、中心に向かって斜めになっているから、雨水が滑り台のように地下に貯まって、水やりに使われる。
都市周辺まで含めたエコシステム設計の循環モデルになっている。
都市にとっては緑を担保する役割も果たしている、ちょっとした生態系というか、よくできているなと。


菅野: そもそも「植物園」の定義って何だっけ、ってなりますね。


猪子: そうそう。植物園にここまで予算かけれるのもすごいなと思ったり。
「植物園」っていうと少ない予算でやらなきゃいけない空気感漂うじゃないですか(笑)


■まったく新しい多視点の新感覚シアター"Sleep No More"


--他にも印象的だったクリエイティブだったり、作品はありますか?
猪子: "Sleep No More"っていうニューヨークの演劇ですね。
これは古いビルが丸ごと現代アートのシアターになってて、建物の中に入ると中世の別世界のような感じで、はじめにアブサン飲みながら待たされます。
渡されたトランプカードごとに呼ばれると、フロアに降りるんですけど、同じカードじゃなければ友達同士で来てても離れてしまう。


http://sleepnomorenyc.com/#share


エレベーターを降りても、なにをしていいのか全く分からない。
お面を被った他のお客さんが一生懸命引き出しを開けたりしているから、そういうゲームなのかと思ってこっちも開けるんだけど、演者さんが出てきてケンカを始めたり...。
ようは建物の5フロアそれぞれで物語が進行していく。
だから全体のプロットがさっぱり分からない(笑)


--それは別々の物語が?

猪子: いや、一個の物語なんですよ。
歴史の話でいえば、たとえば「桶狭間の戦い」も何万人がいて、一つの物語があって。
それを信長だったり、秀吉だったりの視点で切り取ってるだけで、実際は全部が関係して戦争に勝ったり負けたりのエンディングがあるわけで。
それがこの劇だと本当に全員の視点で進むから、さっぱり分からない(笑)
普通同じシアターで同じ空間にいると。
一応目的は共有しているので、みんなが見てる方向も一緒だし、みんなの行動も予測できる。
けど、この劇だと観客も全員違う意図で動いたりするから、まったく予想がつかない。


--ただ日本だとアメリカに比べて、観客の人は入りづらいのかもしれませんね。
猪子: 基本、観客の設定は「お化け」なんですよ。演者さんには見えてないから、完全に無視。
目の前に僕がいてもストーリーは進行させないといけないから、一生懸命避けたりして。


--なるほど。ようは観客は透明になっていると。
猪子: そういうことですね。ただ演者さんもセットも作りこみがすごいクオリティで、こんなに訳の分からないものがすごい金額で、ちゃんと成り立っている...。
チケットもすぐにソールドアウトで、それが成り立っているニューヨークがすごいということですね。



第4回SENSORS SALONトップクリエイターが語るクリエイティブの今と未来への挑戦(1/7)
動画でもご覧いただけます
【メンバー】朴正義(バスキュール)、伊藤直樹(PARTY)、猪子寿之(チームラボ)、菅野薫(電通)



PARTY・伊藤直樹が見据える集団創作(=プロジェクト)の時代 (2/7)に続く


(文・構成 長谷川リョー)
長谷川リョー:
フリーライター。東京大学大学院学際情報学府在籍。


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