バスキュール・朴正義が予期する次世代の広告コミュニケーション 第4回SENSORS SALON トップクリエイターが語るクリエイティブの今と未来への挑戦(3/7)

2015.01.23 10:26

バスキュール・朴正義、チームラボ・猪子寿之、PARTY・伊藤直樹、電通・菅野薫、広告やアート、エンターテイメントを牽引するトップランナー4氏が2014年のクリエイティブを振り返りつつ、2015年、そして未来を展望する。
第4回SENSORS SALON #3/7


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バスキュール・朴正義氏


■2014年にYouTubeで話題をさらった動画の制作手法は、日本のテレビ局が昔からやり続けてきたこと


--朴さんも同様に、2014「コレはやられたな」というクリエイティブや映像などありましたらご紹介いただけますか。
:正直、作品として「コレはすごい」っていうものは最初思いつかなかったのですが、去年YouTubeで最も再生されたというポーランド発の「ミュータント・ジャイアント・スパイダー・ドッグ」という動画は素直に「やられた!」って思いました。

これは僕がどうこう解説するよりも、観てもらえれば分かります。


伊藤:コレ最高ですよね。


:海外ではかなり観られているんですが、日本だとまだ知らない人もいるので取り上げました。


猪子:俺、知らない。


:猪子さん絶対好きだから、観た方がいいよ。犬に蜘蛛のぬいぐるみを被せているだけでテクノロジー的な要素はないんだけれど(笑)、すごい面白い。



---動画を見ながら(一同爆笑)---


:これって日本のテレビ局がずっとやってきたことじゃないかと思うんですよ。


伊藤:たしかにテレビ番組っぽいですね。


:テレビ制作会社の人がテレビを出口じゃなくて、YouTubeを出口にしたら多分、広告で普通に相当儲かりそうな時代というか。

今後どのような視聴手段のために作っていくのかということも含めて、時代の変化を感じます。

だって、コレって日本のテレビ局が作ったって言っても、全く誤解しないですよね。

「やられた!」ってこういうことを言うのかなって。こういう感覚って忘れちゃいけないですよね。


菅野:これテレビ番組なのかと思ってました。素人の作品だったら、凄すぎますね。


:こういうバズ動画を専門にする制作チームができたのかと勝手に思ってましたが、どうなんでしょうか。

テレビ番組を違法アップロードして1億ビューっていうのも考えにくいですし。

いずれにしても、考えてみたらコレって30年前に日本テレビが毎週やっていたもののような気がしなくも...(笑)


菅野:人が好きなことって変わらないですよね。


猪子:犬を改造したっていうのが発明なんじゃないですか。

けっこう相当なイノベーションだと思うんですよね。

たぶん機械の動くスピードとか、起点の動きと犬の機動性ってすごい違うじゃないですか。


:やっぱりテクノロジーが色々ある中で、あえてこういうアナログな方法でやっているから面白いんだろうとは思います。

もしかしたら揶揄も込められているのかもしれません。

■「UTme!」にみる新しい広告コミュニケーション
―広告は"作品"創りからから人々が参加できる"行事"創りへ


--その他、2014年に印象深かったクリエイティブや広告などありますか。
:良かったと思ったのが、中村勇吾(tha ltd.)さんが手がけられたユニクロの「UTme!」ですね。

コレは広告そのものというよりも、作ったサービスがそのままUTの広告にもなっている気がします。


猪子:コレ何ですか?


:スマホを振るだけでデザインができて、それがそのまま1990円でTシャツになって、すぐにパーソナライズされた商品が買えちゃう。

すごくよくできてるんですよ。

人気のキャラクターもスタンプのように配置できたり、レイアウトとか少し難しいことも振ることによって、偶然のデザインが出来上がる。

なんか楽しいんですよね。


http://utme.uniqlo.com/


:実際に広告としてプロジェクトが始まったのか、それともサービスを作ろうとして始まったのか分からないのですが、いずれにしてもこれが今の時代のコミュニケーションのあり方のような気がします。

実際のところ、Tシャツを作るところまでいかない一歩手前の人もけっこう一杯いると思うんですけど、そういう人にとっても良い体験になりますよね。しかもあの値段で、一つひとつを出せるってとてつもないことだと思うんですよ。

広告の「作品」を一つ作るということよりも、新しい習慣というか、買い方に近いですよね。

これからの流れは新しいプロジェクトのような「行事」を創り出していくことのような気がします。


--伊藤さんはどう思われますか?
伊藤:パーソナライズしたカスタマイズ商品を出せないのかっていうのは90年代から企業が取り組んできたことですよね。

たとえば自動車メーカーが中心になってやってきたのですが、なかなか実装できていません。

うまくいったのは10年前位の「NIKEiD」くらいじゃないですか。未だに自分はアレが一番素晴らしいと思っていますが、この「UTme!」もよく実装できたと思いますね。

ユーザーがある種自分でやりたいと思えて、しかもあの中に生産ラインも組み立てて、販売にこぎつけるってなかなか難しいことだと思いますし、ユニクロくらい量を出さないといけない会社だとより大変だと思うので。

中村勇吾さんはそのへんのユーザーのさじ加減の調整がうまいですね。

利用した人がデザインした気になるというのが重要じゃないですか。その加減がうまいですよね。


:「みんなのデザイン」というボタンを押すと、他の人が作ったものが出てきます。

おそらく、それも買えるんですよ。こういう仕掛けも含めて、今の先端を行くサービスだと思いますね。


動画でもご覧いただけます。



広告/エンタメのコンテンツで進行する"フィクションの二極化" (4/7)に続く


(文・構成 長谷川リョー)
長谷川リョー:
フリーライター。
東京大学大学院学際情報学府在籍。


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