「テクノロジーは自分の限界を引き上げる物」-真鍋大度の挑戦

2015.03.07 20:00

数々のメディアアート作品を生み出し、世の中に新たな可能性を示し続けている、クリエイティブ集団・ライゾマティクス真鍋大度氏。今回は真鍋氏自身にフォーカスを当て、ものづくりをするときの考え方や今後の挑戦などについて話を伺った。


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作業場にて行われたインタビューに丁寧に答える真鍋氏


―早速ですが、真鍋さんに作品作りの発想についてお聞きしたいと思います。真鍋さんは、どのようなきっかけで作品の着想を得ることが多いのでしょうか。

真鍋:自分でもわからないんですよね。何かを作る時は、問題提起する場合と問題解決場合する場合に大きく分かれています。問題解決側の場合は、広告代理店さんとかからお題をもらってそれをいかにスマートに解決するかというところが大事。

例えば東京オリンピック招致の時に、フェンシングを題材にして何か考えてほしいと言われたので、何か潜在的な問題はないかと考えました。結果、剣先が早すぎて素人には見えないということが浮かび上がってきました。そのためフェンシングの面白さが、一般の人にはよく伝わっていなかった。それをテクノロジーを使ってどう解決したらいいか。そこで剣先にマークを付けてカメラで見て剣の軌跡を見てみたんです。そうすると、観客はフェンシングがより面白くなるし、競技にエンターテイメントの要素を持たせることができるんです。

反対に、何かしら問題が設定されてない時はまず問題提起するところから始めます。それは、作品を作る時の一番ベースになっていることだと思います。


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「問題提起をすることが、作品を作るときの出発点になる」


―フェンシングの話を含め、新しい表現を次々と生み出していますよね。真鍋さんの、作品作りに対するポリシーは何かあるのでしょうか?

真鍋:ポリシーは...特にないですね。例えば、政治的なメッセージとか社会的なメッセージとかを作品の中に込めるということはしません。

エンターテイメントを作るときとアートを作るときでは、だいぶ違うと思っています。エンターテイメントは丁寧かつ親切に、誰もが楽しめるように作る必要があります。一方でアートは、僕が考えていることを形にして作ったものを見てもらうので、観客にとっては不親切なんですよね。作るときの目線はあくまでも自分の目線なので、見る人のことを考えていないんです。


―先日、「2045」というイベントが開催されました。それはいかがでしたか?

真鍋:人工知能は僕がいま一番興味のある分野で、1年くらいかけて進めてきたプロジェクトなんです。結論を言うと、今まで本当に手探りでやってきたので、100%これが正しいという答えは最後まで出ませんでした。でもまだまだ自分自身勉強途中だし、分野全体としても最近出てきたばかりなので、【果たして人工知能に音楽をやらせることができるのか】という追求は、これからも続けていきたいところです。

チェスや将棋では、既に人工知能は人間に何度も勝ってるんですよ。だけど、囲碁ではまだまだ人間の方が強い。囲碁の世界では、人間を上回る人工知能は作れないと言われています。じゃあ音楽はどうなの?映像はどうなの?。そういった意味でまだ答えが出てないところはたくさんあって、それをみんなで考えるきっかけになったので、このプロジェクトはこれからが楽しみです。


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人工知能に注目し、よりエンターテイメント性の高い作品を作りたいという


―今後、挑戦していきたいプロジェクトや作品はありますか?

真鍋:人工知能を使って、大量のデータを集めて何かをするっていうのは考えていますね。けど、それが最終的にどういうものになるのかは分かりません。ただお役立ちだけのツールではなく、新たなエンターテイメントの創造に繋がったらいいなと考えています。

僕らがエンターテイメントのジャンルに飛び込めたには、2010年に東京ドームで行われたPerfumeのライブなんです。そこで初めて、大きい舞台でアーティストと観客がインタラクティブに交じり合い、両者の関係を上手く結びつけるという試みができました。そこを境に、エンターテイメントの演出がガラリと変わったと思いますね。

それはPerfumeが成し遂げた一つの偉業ですが、僕らもそれに少しだけお手伝いできたことは嬉しく思うし、今まで入ることが無かったジャンルにもっと深く切り込みたいと思うきっかけにもなりました。


―最後に、真鍋さんにとってテクノロジーとは?

真鍋:自分の持っている力や考えの限界を引き上げてくれる物ですかね。絶対必要だし、あると便利だし、単純にツールとして使える物でもあるので、僕にとっては切っても切り離せない物だと思います。


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取材・文:石原龍太郎(いしはら りゅうたろう)


ライター・編集者。 テクノロジー・ファッション・グルメを中心に、雑誌やウェブにて執筆。本と音楽とインターネットが好き。@RtIs09

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