ボーカロイド X 文楽人形 時空を超えたマリアージュ

2014.10.23 16:57

ボーカロイドが歌い、文楽人形が舞う


今年7月、ロンドンで開催された日本文化発信イベント「ハイパージャパン2014」で、日本の短編映画『ボーカロイドオペラ 葵上 with 文楽人形』が世界初上映され、高い評価を得た。


この作品には、人間は登場しない。歌うのは、ボーカロイド。演じるのは、文楽人形。


源氏物語「葵」の一節を現代劇に再編したオペラ舞台を撮影したもので、作曲家「ヒカル」と共に活動する人気歌手「アオイ」に起こった奇妙な一夜の物語を描いた作品だ。


ボーカロイドに感情を持たせる


日本の音声合成技術「ボーカロイド」と300年の歴史をもつ古典芸能「文楽」が融合した『オペラ葵上』。ヤマハの「VY1V3」、AHSの「猫村いろは」「結月ゆかり」など特徴的な歌声ライブラリーを持つボーカロイドを起用。独特の世界観を生み出している。


文楽の世界観にマッチする歌声はどのようにして作られたのか? 台本・作曲・演出を担当した田廻弘志氏に話を聞いた。


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田廻氏


田廻
:ボーカロイドそのままの声では機械的すぎるので、逆に高いキーを出す苦しさをデータ上に持たせました。感情らしいもの、何か肉体を持って歌っている感じというのでしょうか。人形が下を向けば下を向いた声の質感に、上を向けば上を向いた質感に、ということを、1つ1つ音を探りながらやっています。


人間の所作を体現しようとする文楽にボーカロイドとの親和性を感じていたという田廻氏は、楽曲を携えて、文楽人形遣いの吉田幸助氏に文楽との共演を打診。しかし、文楽の人形遣いは、三味線と太夫(たゆう)の語りがあってこそ操ることができる三位一体の芸術。当初、吉田氏はコラボに難色を示していたという。


吉田
:絶対ムリだと思いましたね。もうやめてって何回も断ったんですけど。是非ともやってくれと言うので、根負けして、じゃあやりますってなっちゃったんですね。ただ、引き受けたものの、新しい分野なので、曲調とか音とかがまるっきりわからなくて。それを理解するまでに時間がかかりました。


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吉田氏


ボカロ X 文楽人形 道は違えど、目指す頂は同じ


ボーカロイドと文楽人形の時空を超えたコラボ。完成した映画を見た吉田氏は、今回のプロジェクトに大きな可能性を感じたという。


吉田
:文楽の人形をより一層きれいに見せているなと感じました。私たちも人形が人間により近くなるように動かしているわけで、今回のボカロも機械が人間により近い音が出せるようなものを作り上げている。(田廻さんも僕も)同じような所を目指しているのかな。


ボーカロイドと文楽人形。最新テクノロジーと古典芸能の出会いによって、新たな芸術のトビラが開いていくのを感じた。

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<文:SENSORS編集部>

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