「サイエンス・フィクションを実現したい」次世代ユーザーインターフェース『FOVE』が秘める可能性とは

2015.02.07 20:28

世界初の視覚追跡機能を搭載したHMD「FOVE」はMicrosoft Ventures Londonのアクセラレータプロジェクトに日本企業で初めて採択され、国内外で注目を集めている。SENSORSブルー岩本乃蒼が実際に「FOVE」を体験し、CEO小島由香氏、CTOロックラン・ウィルソン氏に目指す世界観、今後の野望を伺った。


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「FOVE」を装着し、実際にゲームをプレイするSENSORSブルー岩本乃蒼


昨年、日本企業としては初めてMicrosoftのベンチャー企業支援プログラムに選ばれた「FOVE」。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)としては初めて視線追跡機能を搭載し、装着すると3次元の仮想空間を360度見渡すことができる。内部カメラがユーザーの眼球の動きを検知し、視線で3次元上の座標を特定・操作することが可能となっている。



「FOVE」という名はfield of view(視野)とfovea(網膜中心窩)という網膜の中心で最も感度の高い部分を意味する単語に由来するという。


■"Eye Based Aiming"今までになかった操作感と没入体験


「FOVE」用いた試作シューティング・ゲームではアイ・トラッキングで標的を同定し、プレイすることができる。SENSORSブルー岩本はプレイ終了後に、今までのヴァーチャル・リアリティ(VR)との一番の違いとして視界のリアルさを指摘した。


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眼球の動きを実時間で検知し、マウスカーソルやモニター上のオブジェクトを目線で操作できる。


CEOの小島氏によれば、既存のゲームは全て画面がくっきりと明瞭だったため、現実世界との違和があったという。そこで「FOVE」では意図的に視野の外にブラー(ぼかし)を入れることで、普段私たちが使っている目の動きを実現しているという。このような焦点表現をVRの世界に導入したのも「FOVE」が世界初だ。


■アイ・トラッキングはVRのスタンダードになる


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(左)CTOロックラン・ウィルソン氏、(右)CEO小島由香氏


--「FOVE」が目指す世界観をお聞かせください。

小島:私はアイ・トラッキング機能が数年以内にVRのユーザーインターフェースのスタンダードになると思っています。今までパソコンを操作するガジェットの主流はキーボードやマウスでした。それってVRの世界になったときにすごく使いにくいんですね。例えば、アイ・トラッキングで見ただけでヒュッヒュッて思うままに動かせたら色々なことに応用できるのではないかと。例えば、キーボードを目でタイピングしたりとか、ヴァーチャル・キャラクターとアイコンタクトをとってリアクションを返してもらったりとか。先日、筑波大学附属桐が丘特別支援学校と共同で「Eye Play the Piano」という試みを行ないました。これは肢体不自由の障害を持った方がグランドピアノを、手を使わず目で演奏するものです。



■ゲーマーに"超能力"を与え、SFを実現したい


ウィルソン:サイエンス・フィクション(SF)を実現したいと思っています。例えば、試作のシューティング・ゲームのUIは全て目で行います。ゲーマーに"超能力"を与えたいんです。


小島:私たちは今まさにサイエンス・フィクションを作っていて、『FOVE』でほとんど形にできると思っています。これから世界に挑戦したいと考えています。ぜひみなさんご期待ください。


VR領域でアイ・トラッキングを初めて導入した「FOVE」。「Eye Play the Piano」のプロジェクトをみても分かるように、エンターテイメントから医療福祉分野まで、その応用範囲は広い。VR領域の進化も、ウェアラブル、IoT等と並んで目が離せない分野だ。


(取材・文 長谷川リョー)

長谷川リョー: フリーライター、東京大学大学院学際情報学府在籍。

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