『身近な素材』と『デジタル技術』の合わせ技!面白法人カヤックのモノづくりの今

2015.02.20 10:35

「うんこ演算」や「支社をつくっていたらクビになっていた社員」、「サイコロで給料が決まる制度」など、常に話題になるプロダクトや人材、施策を打ち出している面白法人カヤック。そんなカヤックにSENSORSブルー岩本乃蒼が訪問してきた。カヤックの特徴としてフォーカスされがちな「笑い」や「奇抜さ」とは異なる、使い手のことを徹底的に考える中で生まれる「面白さ」を垣間見ることができた。


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「どれだけ、バズるか。」自社事業だけなくクライアントワークもこなすカヤックが得意領域として掲げている標語だ。SENSORSではクライアントワークの中で「みらいのこくばん」と「ダンボッコ」の2つに着目した。


■「電子黒板」は使いづらい。実際の教場を観察する中で生まれた「みらいのこくばん」


1919年に創業された老舗の黒板メーカーである株式会社サカワと面白法人カヤックがコラボーレーションをして「みらいのこくばん」をつくるプロジェクトが進行している。学校制度がはじまり100年経つが、教科書や文具と違い、黒板は進化していない。最新のテクノロジーで黒板はどのように進化をするべきか。最新の黒板と聞いて「電子黒板」を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。ところが、この「みらいのこくばん」は既存の黒板にタッチセンサー付きのプロジェクターを取り付けることで黒板そのものをデジタル化してしまうというものだ。





五線譜や原稿用紙の線を投影することでボタン一つで教科に応じた黒板に変身させることができたり、Youtubeなどの動画を投影することができる。電子黒板を導入するよりも、約半分のコストで導入できるという。既存の黒板の質感とデジタル技術を実に上手く融合させている。デザイナーの佐藤ねじ氏は「みらいのこくばん」が生まれた背景を次のように語っている。


佐藤ねじ:未来の黒板のアイデアを出し合っている時、当初は結構過激なアイデアが出ていましたね。音声認識で映像が飛び出すとか、ジェスチャーを認識する機能をつけるとか。でも、実際に学校にいって「授業の現場」を見てみて考え方がかわったんです。電子黒板はそれに詳しい一部の先生とかしか使いこなせていない。黒板にデジタルなんていらないんじゃないかとも思いました。そこからアイデア出しの質が変わりました。既存の黒板にできることをベースに、デジタルを少し足すくらいが丁度いいのではないか。


既存の親しみ慣れた使いやすさは残したまま「直線をきれいに引きたい」「生徒に動画を見せたい」といった先生の要望をかなえる手段はないか。そのようなユーザーに寄り添った発想のもと生まれたのが「みらいのこくばん」だ。ところが思わぬ付加価値が付いた。平たく言えば、黒板のIoT化が用意に実現するため、そこに対して様々な「サービス」としてのソフトウェアを載せることができる。黒板を販売するだけでなく、そこに載せるサービスから収益を得るというビジネスモデルを築くことができそうだ。実際の教育現場への導入は試験段階であるようだが、ビジネスとして非常に可能性を感じる。


■子どもが安心して遊べるおもちゃをダンボール×スマートフォンで実現。


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「ダンボッコ」はダンボールにスマートフォンを埋め込むことで、子どもが料理の擬似体験を楽しむことができる次世代おもちゃ。ダンボールでつくった、鍋やフライパン、まな板などの料理器具と、スマホアプリを組み合わせることで多種多様の料理体験を楽しむことができる。ダンボールという子どもにとっても身近な素材を使用することで「手触り感の良さ」を実現している。




クラウドファンディングで量産のための資金を調達しており、132人の支援者と約55万円の調達を達成している。通常おもちゃは現実の事象を抽象化して表現することが多いが、ダンボッコはアプリにおいても「妙にリアルな質感」を出すことにこだわったそうだ。


■ものづくりにおける本質的な「面白さ」の追求とデザイン的アプローチ。


「どれだけ、バズるか。」という考えからも面白いものは生まれるが、ユーザーやクライアントのことを真剣に考えていく中でも面白いものは生まれる。「みらいのこくばん」や「ダンボッコ」は、ユーザーの観察を通して獲得した発見をアイデアの中に取り入れた結果、「身近な素材」と「デジタル技術」を組み合わせたことでユーザーが真に使いやすいように設計されている。「漫画っぽさ」といった言葉に代表されるこれまでのカヤックとは違う「観察」を主体とした新しいものづくりのアプローチに期待だ。


(SENSORS編集部 構成・文:石塚たけろう)

石塚たけろう:ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、広告会社にてスタートアップと大企業の共同事業開発モデルであるコーポレート・アクセラレーターの運営に携わる。フロントエンドエンジニア。

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