イラスト投稿からモノづくりまで、一貫してクリエイターの味方!「pixiv」副社長・永田寛哲のサービス運営の極意。そしてそこで生まれた【ユーザーの自治意識】

2015.03.04 17:05

今の世の中で流行っている「モノづくり」。そうした流れをいち早く汲み取って立ち上がったウェブサービスを、イラストSNSとして有名な「pixiv」が運営している。イラスト一枚から即座にグッズ制作がオンライン上でできる【pixiv FACTRY】と、それをオンラインで販売、決済・配送まで代行してくれる【BOOTH】だ。なぜイラスト投稿SNSが「モノづくり」のサービスを始めたのか、そこを掘り込むインタビューを試みた!


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■ 自分で生み出した作品にはきっと価値を感じてほしくなるはず。欲求を満たす為の場所を作った、それが【BOOTH】の誕生


永田:【pixivはイラストの発表の場として今確立されています。誰でも気軽にイラストを投稿する事ができてたくさんの人に見てもらう事ができます。自分が描いた作品に対してリアクションされると描いた人はとても嬉しいはずです。そしてその次に芽生えるのは自分の作品へ価値を感じてほしいという事だと思います。


永田:価値ということは、お金を払って自分の作品の価値を認めてほしいということです。それはただ儲けたいという気持ちではなくて、第三者を通して自分の作品の価値を確認するという事です。


永田:ネット上には無償のコミュニケーションというのが現実より活発に行われていると思います。SNSを通して制作者と会話したり、お題をもらってイラストを描いたり。そういったコミュニケーションの間にお金という存在が入る事で深いコミュニケーションになると僕は考えています。ですから、pixivは発表の場だけでなく、いずれ販売の場にしたいと思っていました。その結果生まれたのが【BOOTH】です。


自分が制作したものを気軽にオンライン上で販売する事ができる【BOOTH】。 全てウェブ上で完結し、作り手にとって面倒な在庫管理から決済、発送などすべてを担ってくれる。また、体験版やサンプルの配布もできるように0円の商品も並べられるなど自分の作品を多くの人に手に取ってほしいと考える人にとっては便利な機能も兼ね備えている。


永田:BOOTHは365日24時間のコミックマーケットのようなものなんです。いつでも好きな作者の作品が気軽に買えます。販売する側にとっても購入する側にとってもとにかく気軽に使ってもらえるように作りました。


永田:個人同士の直接のやりとりには面倒なことが多いですよね。発送されていないとか、入金がまだ、などというよくあるネット通販のトラブルは、作品にとってネガティブな印象を与えてしまいます。我々のような企業がユーザー同士の間に入る事である程度のトラブルを避ける事ができます。個人で手が回らないところを僕たちが手伝うというのがこのサービスですね。


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■ 便利なサービスの裏には二次創作特有の問題が。しかし【ユーザーの自治意識】が解決の糸口に...。


【BOOTH】に続いてリリースされたサービスが【pixiv FACTRY】だ。このサービスは一枚のイラストからグッズを作成する事ができる。しかもグッズの作成にかかる時間は最短2分だというから驚きだ。作成したグッズはもちろんBOOTHですぐに販売する事もできる。つまりイラストに関わる事はもはやpixivですべて完結するということだ。しかし、ユーザーにとって便利なこのサービスには一点の懸念が。それは二次創作に関わる権利問題だ。pixivはこの問題についてどのような考えを持っているのだろうか。


永田:販売の場を置くという事は制作の場も置く必要があると感じていました。そうすることでpixivに参加すればイラストの投稿、発表、そこから発展した制作、販売が一つの場所で完結します。


永田:ただ、そこには一つ懸念される部分もあると思っています。pixivは、ご存知の方も多いと思いますが、人気のアニメや漫画などのキャラクターを使用した二次創作の投稿がたくさんあります。そうすると考えつくのは、そういった二次創作の作品をグッズ化して、【BOOTH】や【FACTRY】で販売してしまうのではないかということです。こうした二次創作に権利元の方々もコミケなどには理解をしていますが、こちらのサービスはまだこれからのものです。二次創作的なことを無償でやる分には良いですが、それに対してお金が入ってくるとややこしくなります。


永田:pixivとしてもそういった投稿に対してはできる限り対処していきたいと考えています。一方で、ありがたいことにユーザーに助けられている部分があるのも事実です。そもそもpixivは「.jpg」や「.gif」、「.png」などの画像ファイルだったらなんでも掲載できるサイトです。写真でもいいですし、どこかから拾ってきた画像を転載するという事もできてしまいます。

しかしpixivの場合、写真や違法な画像が投稿された場合、すぐにユーザーからの通報があるのです。だからそういった画像は滅多に上がってくることがありません。ユーザーたちの間に、この場を守ろうとしてくれているという、高い自治意識があるのです。それを僕たちも信頼しています。 運営側とユーザー側で信頼関係を築くということは容易なことではない。このようなユーザーの高い意識は、pixivがユーザー至上主義で運営してきたからこそ、もたらされた結果なのかも知れない。


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永田:【BOOTH】や【pixiv FACTORY】のユーザー評価はまあまあいい感じですね。でも、どちらも基本的に赤字なんですよね。(笑)もう将来的に黒字になるぞ、という程度じゃなくて。最初から身銭切ってる感じです。でも、それでいい。僕は総合的にpixivを使ってもらえたらいいんです。周辺のサービスがちゃんと整っていればみんな使ってくれると思うんです。全てがpixivで完結するみたいな。そうすることで結果pixivの会員数やPV数があがることになるんですよね。だから、ラーメン屋さんの無料トッピングみたいな感じなんですよ。トッピングだけだと赤字だけど、ラーメン食べてくれれば大丈夫、って。


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自分の作品を大切に想いモノづくりをしている人にはぜひ、一度は使ってみてほしいサービスだ。きっと永田氏やpixivの想いを受け取る事ができるはずだ。


(取材:おいかわのりこ)

おいかわのりこ: 2011年より、しんどうこうすけ氏とROISSY(ロワシー)というユニットを組みクリエイターとして活動中。2014年は堀江貴文氏のアプリTERIYAKIの監修や、12月にボードゲーム「どうぶつサッカー」を幻冬舎エデュケーションより発売


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