グラドル自画撮り部・部長(尻職人)倉持由香が語るソーシャル・マーケティングの極意とは [後編] "グラビアアイドル"という日本文化を世界へ

2015.01.06 10:09

Twitter Japanが12月に発表した、2014年に日本で盛り上がったトレンドハッシュタグで8位にランクインした「#グラドル自画撮り部」。日本でもセルフィーが盛り上がりを見せるなか、発起人であり部長を務める倉持由香に話を聞いた。
部活動を始めた経緯、ソーシャルメディアの有効な活用法、セルフブランディングの極意まで。彼女の話から浮かび上がった「グラビア自画撮り部」の背景には、徹底したマーケティング戦略と純粋なまでのグラビア愛があった。

(2016年1月追記)
2015年人気記事10選」入りを受け、最新コメントを頂きました!

倉持:
「グラビア氷河期」を打破するためのセルフプロデュースについてのインタビューでしたが、最近は、だんだんと紙媒体の写真集を出す子も増え、雑誌にもグラドルの姿が目につくようになってきました!
私自身も、2015年秋の3rd写真集『ふなばしり』発売や、直近では『週刊ヤングジャンプ』にグラビアの掲載が決定するなど好調で、確実に時代が変わりつつあるなと肌で感じています。2016年も走り続けていきたいです!

光源に向かって自画撮りする倉持氏

--ネットリテラシーが非常に高いというか、そういったマーケティングの知識はどこに起因するんでしょうか。

倉持:
小学校から中学まで不登校で引きこもってた時期があって、その頃ネトゲやったり、チャットやったり、ネット中毒だったんですよね。自分がネットの住人なので、こういうネタが受けるだろうっていう感覚を大事にしたり、炎上には気をつけたりはします。あとは、つぶやくタイミングや文脈にも気を配りますね。いちおう芸歴は10年になるんですが、はじめの9年間は"闇"っていうふうに捉えてて(笑)ただ、その9年間で漫画、ネット、ゲームで蓄積された知識は今すごく役立っています。

たとえば昔のテレホタイムの時間帯の23時以降って、今でもネットのゴールデンタイムじゃないですか。その時間帯に合わせて自画撮りを載せます。この時間帯ってみんな仕事から帰ってきて家にいるので。朝は通勤途中で電車に乗られている方もいると思うので、少し控えめにしてみたり。

■"進撃の巨尻"ツイートにツッコミ要素を織り交ぜる

--ほかにツイートするときに意識していることはありますか。

倉持:
時報BOTってあるんですが、私はお尻画像をつけて手動でやっています。たとえば15時半に「15時をだいぶ過ぎてしまいましたが、いちおうお知らせします」みたいなアバウトさが逆に受けたり。
ツイッターってリツイートされることが肝心ですよね。いかにリツイートしてもらうかを考えたときに、エッチなものだけでは、変態だと思われるのでリツイートしてもらえないんですよね。だから、グラドル自画撮り部も露出合戦にはしたくないと思っていて、適度で爽やかなエロさとちょっとした小ネタを入れるようにしています。たとえばお尻の画像を載せるときも、"進撃の巨尻"とか、春には"倉持 春の尻祭り"と称して白いお尻を載せたり、こういったネタ感は大事にしています。

--やりすぎの部員とかが出てきて、指導したくなることもあるんじゃないですか?

倉持:
最初の頃には過激すぎるものを載せる方もいたんですが、けっきょく自然淘汰されていくんですね。部活のルールのような暗黙の了解が徐々に醸成されていって。ルール違反なものを載せても、ファン(=フォロワー)って増えないんですよ。部活動に則って正々堂々と載せている子はどんどん一日に100人単位でフォロワーさんが増えたりしています。

--自画撮りと関連して、今年話題になった"セルフィー"ブームについてはどうみていますか。

倉持:
世界的に人気ですよね。スマートフォンが普及して、インカメの画質もコンデジと遜色なくなったことで、誰もが皆カメラマンになれる時代だと思うのでいい傾向だと思いますね。海外ではあちこちセルカ棒で撮影してますしね。

最近だと、海外セレブの間でお尻の自画撮りを載せる"ベルフィー"っていうのがブームになってるそうですね。「お、海外にも尻職人がいたんだ」と思って。そもそも私が部活の名前を"自撮り"部じゃなくて、"自画撮り"部にしたのも、自撮りがインカメで撮るのに対して、自画撮りは全身鏡に対して撮るっていうのが私の中で定義であったりするんですよ。

■"自撮り"と"自画撮り"の違いは情報量

倉持:
グラビアアイドルの武器って全身なのに、インカメラで顔とピースサインを写したところで、「なんか可愛いね、はい」で終わってしまいますよね。私がツイッターに載せる写真で意識しているのは情報量の多さです。一秒でも長く拡大して写真を見てもらうためには、顔写真とピースだけだと情報量が少ないじゃないですか。全身だと、たとえば「顔はこうで、身体はこんなかんじ。腰がいいな。水着になんでヘッドホンしてるんだろう」とか細かいところに目がいきますよね。背景の本棚に『AKIRA』があったり、「あ、この子『寄生獣』が好きなんだ!」とか何でもいいんですけど、一枚の写真で情報量が多いと、その分釣り針が多いと思うんですよね。一つでも引っかかりが多いほうが多くのファンをゲットできると思うので。

最初の頃は5分に1回とかお尻の画像を載せていたんですけど、"単純接触の原理"というか、ツイッターで流れてて、何度も目にしていると好きになってくれるんですよね。だんだん気になりだすというか。「あれ、ちょっとお尻少なくなってるね」とかリプライもくれるようになったり、結果的に商品を買ってくださる方も増えていきますし。

虫歯ポーズを決める倉持氏

--自画撮りのコツ、テクニックも教えていただけますか。

倉持:
まずは光源を探すことですね。肌を綺麗にして、目にキャッチが入る、そのハイライトが入ることによって目がうるうるとアイドルフェイスになれたり良いことずくめなので、光は大事です。あとはほっぺに手を当てる"虫歯ポーズ"。これはただ可愛く見えるだけじゃなくて、頬を引っ張ることでほうれい線を隠せて補正ができるんです。普通のポーズでも顔の周りに手をやることでセクシーにみせる効果があります。

■自画撮りテクのヒントは少年漫画にあった

--なにを参考にこうしたテクニックを編み出すんですか。

倉持:
漫画を参考にしたりします。とくに桂正和先生の描くお尻は参考にします。女性の思う可愛いと、男性の思う可愛いってけっこう違ってて。女性は細ければほそいほど良いと思っていたりするんですが、私が自画撮りするときはむっちりに見える方法を考えます。正座して太ももをむっちりさせて撮ったり、ニーハイソックスで食い込ませたり。

私が「正和シワ」と呼んでいるパンツの皺は再現しようとずっと試みています。昨今、3次元の女性よりも2次元の女性に興味を持っている男性もいるので、そういう方々にグラドルに興味を持ってもらうためにフィギアっぽい体型を意識してみたり、ニーハイソックスとか縞パンとか、アニメの女の子が履いているようなものを付けてみたりもします。とにかくグラビアアイドルに新しく興味を持ってくれる新規の母数を増やしたいんですよね。

知名度を上げていくときにイメージしてる三層のピラミッドがあって、一番下から私のことを知ってくれている人、私に興味を持ってくれている人、そして私のイベントに来てくれたりDVDを買ってくれたりする人っていう。この知名度ピラミッドをキレイ大きくしていくためには、私のことを知ってくれる人の母数を増やす必要があるんですよね。そのため自画撮りなどの優良コンテンツを継続的に提供するのが重要で、中身がないものや炎上商法だとピラミッドの形が歪になってしまうんですよ。これだとDVDや写真集の販売促進にならないというふうには考えてます。

このピラミッドをキレイな形でどんどん広げていくというのが私のタレント活動で重きを置いてる部分です。これはグラビアアイドルっていう商品の私だけじゃなくて、どんな商品にも応用できる理論だと思います。みんなの母数を増やすためのサポート活動でやっているのが"グラドル自画撮り部"ですね。現在、フォロワー数が約11万人いるんですけど、私が他のメンバーのツイートをリツイートしてあげることでグラビアアイドル業界が盛り上がっていけばいいと思っているので。取材でも「どうして独り占めしないのか」聞かれることがあるんですが、自分だけ良ければそれでいいかというと、それでは私の先はないなって思ったんです。業界全体が盛り上がっていかないと、一人売れても仕事は増えていかないんですよ。吉木りささんや壇蜜さんがポンポンと売れても、そのあとに続く人材が育たないと、グループアイドルさんには対抗できないので。

グラビアアイドルという畑を耕したいんです。種まきして、みんなが育ってくれたら土壌が豊かになって、その村が活性化されて、新しい仕事がどんどん来て、住民も増えて町になる。一人だけすくすく育っても、いずれは枯れてしまうので。

光源に向かう倉持氏

■グラビアを日本の文化として残していきたい

--今後の展望としてどのような将来を考えていますか。

倉持:
私自身の知名度も伸ばしつつ、最終的にはグラビアを作る側の裏方に回りたいと考えています。そもそも「グラドル自画撮り部」を始めたのも、もともとグラビアアイドルという職業が好きだったというのがあって、みんなに忘れられてしまわぬように、文化として残したくて。なので当面の目標としてはフランスのジャパン・エキスポに呼ばれたいと思っています。

--なぜ裏方に?

倉持:
物心つく頃から、ずっとジャポニカ学習帳に女性の体をひたすら書いている幼稚園生だったんです。気持ち悪がられたりもするんですが、とにかく女体が好きだったんですね。だから女体の美しさを表現しているグラビアアイドルっていう職業がすごく好きで、数ページの中で構成されるその世界を作りたくて。今は自分の中にある世界観を表現するのに自分がいちばん手っ取り早いからやっているだけで、いずれお尻が垂れて需要がなくなったらきっぱり辞めるつもりでいます。

--たしかに有名な写真家さんはいらっしゃいますが、グラビアアイドルを代表する人だったり、文化を作った人って名前浮かばないですね。一番刺激を受けた人とかっていますか?

倉持:
グラビアではないですが、中川翔子さんのように"オタク"という負の部分を隠さずに出続けたことで、オタク女子っていうものが認められたのには刺激を受けました。私も同様にサブカルチャーの代表になれたらいいなといううふうには思いますね。

"グラビアアイドル"って日本独特の文化だと思っています。見えそうでみえない奥ゆかしさ、侘び寂びのエロスという精神が独自というか。グラドルというのは男性の妄想を掻き立てる存在でもあるので、本当に直接的なエロスを求めるんだったらアダルトの方には勝てないですが、日本は男性も女性も妄想力が強いので、その秘められた精神を掻き立てられる存在でありたいと思っています。

インタビュー前編(グラドル自画撮り部・部長(尻職人)倉持由香が語るソーシャル・マーケティングの極意とは [前編] グラドル氷河期を乗り切るためのセルフプロデュース術)はこちら

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。フリーライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。「BOSCA」編集長。東京大学大学院学際情報学府在籍。最近の関心領域は「人工知能」。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh

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