日産とカヤックが仕掛ける『難解なテクノロジーの翻訳』 ~クルマと生活者の新たな関係の築き方~

2015.03.20 12:00

自動車に導入される新たな機能やテクノロジーは高度化する一方、その凄さを生活者に解りやすく伝えることは自動車会社や広告クリエイタ―にとって大きな課題と言える。これからの時代、新たなテクノロジーを伝えるためにどのようなコミュニケーションが求められるのか?SENSORS IGNITION 2015で行われた日産自動車・柳信秀氏と面白法人カヤック・深津康幸氏による特別セッションの様子を紹介する。


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日産の柳氏(左)とカヤックの深津氏(右)。


本セッションは、日産自動車とカヤックが共同で手がけた事例をベースに進行された。これらの事例からは、企業と生活者の新たなコミュニケーションを垣間見ることができる。


■クルマの"テクノロジー"をX-SPORTSの"ギア"に変換する「X-TECH GEAR PROJECT」の挑戦




日産のX-TRAIL(エクストレイル)はアウトドアスポーツの愛好家に根強い人気を持つSUV。2000年から発売を開始し、2回目となるモデルチェンジを行った。柳氏によると、新型のX-TRAILには今までのX-Trailに比べて寄り多くの最新テクノロジーが搭載されており、特に若い世代の生活者に対してその凄さや魅力を伝えることが課題と言える。「X-TECH GEAR PROJECT」では、テクノロジーを活用したコンテンツ制作に強みを持つ面白法人カヤックと共同で、X-SPORTS(エクストリームスポーツ)のスノーボードを楽しむ若者をターゲットに、X-TRAILのテクノロジーをわかりやく体験してもらうためのコンテンツ作りを行った。


「X-TECH GEAR PROJECT」はX-TRAILに搭載されている"テクノロジー"を、スノーボーダーに向けて「変形」した"ギア"を開発している。


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例えば、クルマの情報を的確にドライバーに伝えてくれるディスプレイ技術を応用し、加速度センサーや荷重センサーとLEDディスプレイを搭載したボード「ADVANCED DIPLAY BOARD」は、滑走中の様々な情報をLEDの点滅パターンで認識することができる。


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「INTELLIGENT SHOOTING HELICOPTER」はスノーボーダーを自動追尾して走行している姿を撮影するヘリコプター。ヘリコプターには様々なセンターが取り付けられており、画像解析をしながらスノーボーダーを追いかける。GPSや赤外線、ボーダーの服の色を複合的にセンシングしながら追尾する仕組み。これには、駐車を自動操舵アシストしてくれる機能や、クルマを真上から見ているかのような視点を提供する技術を応用している。「太陽光が反射する雪面上では赤外線のセンシングがなかなか上手くいかなかった」と開発の苦労を深津氏が語った。


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スノーボードを楽しんでいる最中は注意が前に向いてしまうため後方からの危険に気づきにくい。そんなスノーボーダーの課題を解決するのが「SAFETY SHIELD GOGGLES」。クルマの周囲の障害物を検知する技術を応用しており、周囲の一定距離圏内に急接近してくる別のスノーボーダーや障害物に反応してゴーグル内のLEDが点灯することで事前にアラートしてくれる仕組み。


今回のキャンペーンでは、言葉で説明するには難しい自動車のテクノロジーを、ターゲットユーザーに馴染みの深いギアに変形することでX-TRAILの魅力を伝えることに成功したという。


■家族を守るためのテクノロジーを凝縮した「お守り」


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お守りを手に取り説明をする深津氏


ミニバン「セレナ」は家族で利用するクルマの代名詞的な存在。今回の施策タイミングにおいて、セレナに自動ブレーキが搭載された。ドライバーや一般の方を守る機能を「家族を守るための機能」として言い換え、当機能をアピールするために「ファミリーお守りメーカー」が誕生した。 特設サイト(現在は終了)から家族の写真をアップロードすることで、ユーザーはオリジナルの写真入りの「お守り」を作成することができる。このお守りは、車内で急ブレーキなどの揺れを検知すると、あらかじめ録音したアラーム音声が再生される仕組み。例えば、子どもの声でアラーム音声を録音することで、センサーが揺れを検知すると子どもが親に安全運転を呼びかけるというようなことも可能。セレナに搭載されているテクノロジーを家族のコミュニケーションに変形して、わかりやすく伝えるというものだ。


■テクノロジーを翻訳したコンテンツが生み出すコミュニケーション


本セッションで紹介された「X-TECH GEAR PROJECT」や「ファミリーお守りメーカー」は日産が自動車に活用する高度なテクノロジーを"翻訳"して"コンテンツ"化することに成功した事例であると言える。プロダクトのターゲット層が自分ごと化できるオリジナルコンテンツを核に、ユーザーとの継続的なコミュニケーションを構築する取り組みに、企業と生活者との新たな関係性を垣間見ることができた。


(SENSORS編集部 文:石塚たけろう)




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