「SENSORS IGNITION 2015」展示プロダクトに胎動するクリエイティブの未来を体験─「SNOW-1」「PLEN2」「360°ホラー」

2015.03.07 23:39

大盛況のうちに幕を閉じたSENSORS初のリアルイベント「SENSORS IGNITION 2015」。ブース出展セクションにはSENSORSでこれまでに取り上げた最先端のプロダクトを中心に30点以上も集まり、未来のクリエイティブを思うままに体験する来場者で会場は熱気に包まれた。デジタル家電をリードするCerevoからスノーボードを革新する「SNOW-1」、世界初のオープンソースでプリンタブルな小型ロボット「PLEN2」、そしてオキュラスリフトを活用したPRで注目を集めた「360°ホラー」をSENSORSブルー岩本乃蒼が実際に体験。あまりのリアルさに絶叫し、涙が溢れる場面も...?

■IoT×スノーボードで滑りデータを可視化─スマホ連携型スマート・バインディング「SNOW-1」

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スマート・バインディング「SNOW-1」を両足に装着し、様々な体勢をとるSENSORSブルー岩本乃蒼


デジタル家電をリードするCerevoが出展した「SNOW-1」は、スノーボードのバインディングをIoTの観点から開発し直したスマホ連動型のプロダクトだ。 「SNOW-1」の筐体には左右の足下に四箇所、合計で八箇所に荷重センサーが取り付けられているのに加え、二つの曲げセンサーも搭載されているので足裏荷重バランスとボードのたわみを可視化することができる。

そしてBluetoothを経由しスマートフォン上で計測・検知したデータをリアルタイムに把握することができる。同アプリではライディングの結果がグラフィカルに表示されるといい、これを元にコーチをつけずとも自分自身で客観的に分析しながら効率よく練習して上達に努めることができるようになるかもしれない。



Cerevo代表の岩佐氏によれば開発で最も難しい部分はやはり機構設計だという。「SNOW-1」は実際のスキー場で使用することを想定して開発されているプロダクトのため、マイナス10°の低温下において何百kgという負荷にも耐える仕様でなければならない。小さいボディの中にバッテリーも含め全ての回路を埋める難易度は相当高い。


Cerevoが徹底して意識するのはマスプロダクションだ。「SNOW-1」は現在プロトタイプ1.5号の開発段階にあり、家電業界の常識だというプロトタイプ3、4の段階で製品化に持っていくのが次の展望だそう。何千台と仕込み、量産をして、スキー・スノーボードショップで普通のお客が買えるところに持っていくのが目標だという。
(Cerevo岩佐氏のプロダクトへの想いは「DMM.make AKIBAの仕掛け人! Cerevo岩佐琢磨氏が語るコネクテッド・ハードウェアの未来」に詳しい)


■「人と技術の垣根をなくしたい」─世界初オープンソースのプリンタブル・ロボット「PLEN2」

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スマホアプリからPLEN2を操作し、バスケットボールをゴールに入れようとしている様子


「人と技術の垣根をなくしたい」と語るPLEN PROJECT代表の赤澤氏は幼少期からロボットのアニメや映画に影響を受けながら育ったという。最近ではロボットをはじめとしたテクノロジーが人間の職業を奪っていくのではないかという悲観的な見方があるが、「PLEN」が目指す世界観はその逆だ。


世界で初となるオープンソースでかつプリンタブルな小型ロボット「PLEN」は、コンセプトに「mirror robot」とあるように自分の分身・身代わりになるような働きをするようにプログラムが可能。例えばモノを運んだり、スイッチを押したりといった動作をユーザーの身体の動き、表情、筋電、脳波など様々な入力方法で操ることができる。ともすれば、遊び以外の教育や医療・介護といった分野にも応用が期待される。 人間の仕事を奪うというよりも、人間をエンパワーしていく存在というわけだ。




今後PLEN3、4とアップデートを重ねていくなかで中心命題にあるのは小型化で、最終的には胸ポケットに入るくらいのサイズを目指しているという。将来「PLEN」が生活をアシストしてくれるようになれば、常に肌身離せない、まさしく"分身小人"のような存在になるかもしれない。


■オキュラス初のホラームービー「360°ホラー」にSENSORSブルーも大絶叫!

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「360°ホラー」体験中、終始怯えた様子だったSENSORSブルー


展示会場でひときわ人気を集めていたのが、IMJ出展の「360°ホラー」。開場から展示終了まで一時も行列が絶えることがなかった。
もともとは昨年11月に「日本初!3Dより怖い360°ホラームービー体験イベント」としてTSUTAYA SHIBUYAで行われたPR施策のために開発されたものだ。開催期間中は心拍数の変化に応じて映画が安くなる「パニッククーポン」も配布され、広く話題を集めた。



今作はオキュラスリフト専用のソフトとして製作された初のホラームービーで、事例がなかったこともあり開発は試行錯誤で進められたという。 物語の舞台は廃病院で、360°全方位にレイアウト・演出、空間デザインがプログラムされている。オキュラスリフトのコンテンツはCGが主流だが、今作は実写。リアクションをとる演出のポイントも細かく計算しているため、体験するほぼ全ての人が十中八九怖がってくれるという。例に漏れず、SENSORSブルー岩本は「怖い」「気持ち悪い」とつぶやきながら、何度も絶叫し、体験後には目に涙を浮かべていた。


360°と広い視野角を表現しつつ高低差も加わった怖さがあるため、一度のみならず何度かやっても楽しめるようなコンテンツに仕上がっている。今後の展開として、キネクトのようなセンサーデバイスを用いることで更に新しい体験も考えられるのではないだろうか。


百家争鳴でたたかわせられるテクノロジーにまつわる楽観論と悲観論。IoTの一例である「SNOW-1」は人間には可視できないデータでスキル向上を後押ししてくれ、オープンソースロボット「PLEN」が指向する世界も小人が人間をエンパワーし、支えてくれるより平等な世界だ。最後に紹介したオキュラス「360°ホラー」も、どこでもドアとまではいかないまでも、HMDを装着した瞬間に異世界へ誘ってくれる画期的なテクノロジーだ。テクノロジー論争の可否は分からない。
しかし会場には、胎動するクリエイティブの未来に触れた人々の笑顔が溢れていた。


取材・文:長谷川リョー

1990年生まれ。フリーライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。「BOSCA」編集長。東京大学大学院学際情報学府在籍。@_ryh


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