【インタビュー】目標額の4倍を調達。Moff Band 高萩氏が明かす《キックスターターの魅力とリスク》

2014.10.13 15:20

いま世界中で話題の腕時計型ウェアラブルおもちゃ「Moff Band(モフバンド)」。世界最大規模のクラウドファンディングサイト「Kickstarter(キックスターター)」で目標金額2万米ドルをわずか48時間で達成し、さらに目標の4倍の支援額7万8000米ドルを集めることに成功した。今や世界中のクリエイターたちが、新たな試みを実現化するための場として利用するキックスターター。そのメリットとは? そこに潜むリスクとは? Moff代表の高萩氏に、キックスターターの「魅力とそのリスク」について聞いた。


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世界中の人たちにMoff Bandを知ってもらいたかった



−−なぜキックスターターを利用したのですか?


高萩Moff Bandの開発や量産にかかるお金に関して支援が欲しいという所と、あとは世界中の人たちにMoff Bandを知ってもらいたいというのがあったので、キックスターターに出品しました。



−−資金集めの方法は他にもあると思うのですが...


高萩:キックスターターを利用することは、最初から念頭に置いていました。それは単にお金が入るというだけではなくて、そのお金は支援者であり、最初のお客様でもあるからです。しかもそれが世界中からやって来る。そうした条件を満たす資金の調達方法は、やはりキックスターターしかなかったということです。




キックスターターは世界に開かれたコミュニケーションツール



−−キックスターターの魅力は?


高萩:例えば、僕らは何も海外のメディアと直接接触していないのに、キックスターターに出して、ある程度の実績を残しただけで、いろんな海外の主要メディアの方に取り上げて頂きました。非常に効果は大きいと思います。



−−国内のクラウドファンディングとキックスターターの違いは?


高萩:世界からファンディングされるということは、それだけ額も大きくなるし、支援者も世界にまたがることになります。やはりキックスターターは世界中が注目しているサイトなので、魅力的ですね。



−−規模が大きい所がメリットですか?



高萩:それもありますね。あとは、キックスターターでクラウドファンディングをするっていうことの文化が成熟されているというのも非常にあると思います。どういうことかと言うと、キックスターター内で面白いプロジェクトがないかどうかをずっと探している人たちがたくさんいて、そういう人たちが外部的には何もメディアには出ていない段階から見つけてくれてファンディングしてくれるんです。しかもキックスターターというのは、結構クリエイターとのコミュニケーションを楽しむものだ、ということで、支援することを支援者側も結構楽しんでくれている所があるんです。



−−デメリットもありますか?


高萩:やはりコミュニケーションをちゃんととらないと支援者は怒りますので、こまめに情報発信したり、質問に対して答えることが求められますね。すべてオープンにしなければならないので、そういう所は大変だなと思います。



ハードウェアプロジェクトの8割は失敗する



−−資金を集められることの方が稀だと思うのですが...


高萩:キックスターターの、特にハードウェアプロジェクトにおいて、目標金額に達成する率というのは20%くらいだと言われているので、80%はやはり失敗します。しかも、目標資金を大幅に超えて、メディアにもいっぱい注目されてとなると、20%よりはもっと小さくなってくるので、大変難しいと思うし、僕たちもやる前から非常にそのことは気にして、いろいろ準備を重ねてきました。



−−キックスターターを検討しているベンチャーに言いたいことは?


高萩:前提としてあるのは、アメリカの西海岸のイケてるハードウエアスタートアップは、クラウドファンディングとかキックスターターは使わないです。彼らはもうプロトタイプの段階から、数億円、場合によっては十億円以上越えるような資金調達をして、自分たちのサイトで予約注文をとって、メディアにもたくさん取り上げてもらって、大々的にやるっていうのが一番イケてるスタートアップのやり方だと思います。



−−しかし、そうはいかないですよね?


高萩:残念ながら、そういうことが出来るスタートアップは数が少ないと思うので、なかなか資金調達がうまくいかないとか、自分たちのアイデアは本当にウケるのか、というのを心配なさっている方は、ぜひキックスターターに挑戦して頂きたいですね。



Moff Bandのアイデアを捨てる覚悟で挑戦した



−−キックスターターのリスクは?


高萩:リスクは高いです。これはクラウドファンディング全般に言えることですが、目標に達成しないということは、このプロダクトは市場にニーズが無いということになってしまうんです。僕たちの時は、目標金額に行かなかったら、このプロダクトのアイデアは捨てる覚悟でやりました。



−−リスクがあってもやる価値があると?


高萩:ただ、いろんな意味でメリットもありまして。要はニーズが無かったということは、量産しても売れないということなので。一番の悲劇は、売れないものを作り続けて在庫を積み上げて、お金だけが回らないというのが一番の悲劇なので。それを未然に防ぐことができるし、世界中の人たちがどういうものを求めているのか、これは駄目なんだということを知ることができるのは、非常に大きなことだと思うので。



−−目標金額に達した時の気持ちは?


高萩:実はキックスターターに出した後の数日間は、アメリカの展示会で展示をしていまして、あまりリアルタイムで見ていないです。最初の数時間だけは見たんですけど、それ以降は結構展示で忙しくやっていたので。



−−「やった!」とか「認められた!」みたいな高揚感は?


高萩:いや、なかったですね。どちらかというと、どうなるか分からない、とか。もしかしたらキャンセルが出るかもしれないし、とか。あとは、ひとまず目標金額を超えて、ちょっとホッとしたというか。そういう感じだったので「やった!」という感情は、正直あんまり感じてはいないですね。なんか嬉しいというよりも、こうしとけばよかった、ああしとけばよかったという反省の方が多いですね(笑)


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<文:SENSORS編集部>

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